ステージに向けて叫ばれる推しの名前、打たれるMIX、オタクが入り乱れるモッシュ状態のフロア……2019年まではこんな風景が当たり前だったライブアイドルの会場。しかし新型コロナウイルス拡大以降は声出しNG・立ち位置も固定、無観客配信など感染対策に配慮したライブがデフォルトとなってしまいました。
この2年近くの間、アイドルに取材すると「コロナ以降のライブの変化」について自然と話をせざるを得ません。たとえばこんなエピソード。
「(グループが活動開始して)声出しとか出来なくなったから、お客さんの声出しバージョンほぼ聞いたことないもんね。最初の1回か2回、あと福島でやった野外ライブくらい」
(Ringwanderungみょん 『TopYellNEO 2021~2022』より)
「わたしのライブのイメージってファンが声出す姿だったりするんですけど、今ライブは声も出せないし、初ライブ盛り上がるのか心配でした。でも終わって『いいグループだね』って言ってくださったのは嬉しかったです」
(NELN NATSUMI『TopYellNEO 2021 SPRING』より)
「物販でお客さんとの間でシールドがあるじゃないですか。わたし声がぜんぜん通らないので、相手が何言ってるか聞こえなくてシールドに負けちゃうんです……。『何言ってるの?』って言われてるうちに『ごめん! わかんないや!』で終わったりして。でも最近は聞きとれるようになりました」
(Payrin's朝日奈まこ『BUBKA』2021年6月号)
そんなコロナ禍デビュー組アイドルのひとりが、NECRONOMIDOLの望永明花さん。もともとアイドル好きだっただけに普通に声援を受けるライブ会場の空気は知っている彼女。それだけにデビューしたものの、これまで観客からコールを受けたことがなく……と思いきや、2020年10月に海外ツアーを行いイギリスのライブハウスで初めてファンの声援をステージで聞いたという、コロナの時期ならでは……いやコロナ以前でもなかなかない経験をしたアイドルだ。