私にとって生誕は「一年間ありがとう、また一年よろしくね」の場
アイドルオタクとしては生誕ライブ見に行くのは好きですか?
- 一色
生誕ライブは楽しいですよね! けっこう「知らないメンバーだけど生誕だから行くか!」みたいな感じで行ってたり、生誕マニアみたいになってた時期もありました(笑)。オタクさんたちがおのおの楽しもうとしてる感じが好きなんですよね。人によりすごくカラーが出るじゃないですか?
コロナ前は本当に皆、趣向を凝らしてましたよね。
- 一色
ライブでやるカバーとかコラボ、あとグッズなんかも工夫してて面白いし、でも「特に何もしません」っていうところもあってそれもいいし。ファンの人たちの企画や入り口に飾るお花も個性的なんですよね。
これまでに行った印象的な生誕ライブってありますか?
- 一色
それが私が地下っぽい現場にはじめて行ったライブでもあるんですけど、BELLRING少女ハートに興味持って新宿MARZに初めて見に行ったんです。そしたら、メンバーのひとりが諸事情で「出演者として名前は出てないけど、ステージには出てる」みたいな時期で。
いろんな事情がありますね……。
- 一色
私が行った日が、その子の生誕の日だったんですよ。だから何も知らずにふらっと入ったら、入り口にお花があって、入ったら生誕缶バッチを渡されて、知らないメンバーのソロステージが始まって「なんだこれ!?」って。異様な光景だったと同時にめちゃくちゃ楽しかったんですよね。
知らない人にとってはシークレット生誕みたいな。
- 一色
あと、生誕というと、ゆっふぃーさんの生誕は毎回いろいろ企画してやられてるイメージありますね。今年も生誕に向けて予告みたいなライブやったりしてますもんね。あとは、ベルハーやゆるめるモ! はオタクがフリーダムなのもあって楽しかったなあ。
会場大きくなるとお客さん加わっての生誕ライブって難しくなるから、まだ会場が小さいうちの方が印象的だったりしますよね。
- 一色
そうですよね。新宿MOTIONでやったSAKA-SAMAのDr.まひるんの生誕ライブは夏の大三角形さんとコラボで、ステージ上に糸を張り巡らせて、その真ん中でDr.まひるんがパフォーマンスするっていうので。あれは本人がやりたいことを突き詰めて、お客さんも「すごいもん見たな」って気になる生誕で、そういうのは好きですね。
アイドルの生誕って、他の何にも例えようがないイベントですよね。
- 一色
普通のお誕生会とも違うし、謎の熱があるじゃないですか。それがすごく楽しくて、「自分もこんな生誕が出来たらいいな」と思いますもんね。ふたつと同じものがないじゃないですか?
あと知らないアイドルでも生誕を見ればその子の人となり、あとその子とオタクの人柄がわかりますよね。その上共演者にめちゃくちゃ祝われてたら「本当にいい子なんだろうな」と思いますもん。
あらためて、一色さんが考えるアイドルにとって生誕祭の意味とは何だと思いますか?
- 一色
私は「1年間応援してくれた人たちに感謝を伝える恩返しの日」だと思っていて。今の自分がアイドルという立場を一旦おいといて、アイドルを今まで見てきた立場からすると、アイドルがアイドルとして活動してる上で“ファンの人への一番の恩返し”は、「アイドル自身が一番楽しんでること」「やりたいことを出来てること」「ステージでのパフォーマンスで『ここにいてよかった』って皆に伝わるような表情や表現を出来ること」だと思っていて。それを一番、濃度濃く届ける日が生誕ライブかなって思ってます。
どんなアイドルも生誕までは続けてほしいですね。多少しんどくてもそこまでたどり着けば……。
- 一色
生誕のためにアイドル続けるとなると違ってきますけどね(笑)。私は「一年間ありがとう、また一年よろしくね」ってニュアンスが濃いんですね。楽しい生誕やって「これからの一年楽しみだな、何してくれるかな」ってワクワクを、楽しかったなあって気持ちと一緒に持って帰ってほしいなって思いますね。
PROFILE
一色萌
ひいろ・もえ
2016年にXOXO EXTREMEでデビュー。高い歌唱力でグループのパフォーマンスを支えると共に、バンドre-in.Carnationやソロ活動も。もともと現場オタクだったアイドルを始め特撮・仏像・カレーなど幅広い趣味を活かしてトークイベント出演やコラム執筆、DJなどの活動も盛ん。
オフィシャルホームページ
https://www.xoxo-ex.com取材・文・撮影/大坪ケムタ 画像提供/XOXO EXTREME