そのときに撮ったチェキが今も研究室に飾ってあります(笑)
逆に2020〜2021年に比べると今はライブハウスの制約もユルくなっていて声出しOK、ジャンプOKの現場も復活しつつあるし、実はこれからのアイドルシーンってそんなに悲観したものではない?
- 雲野
私が調べた2020年から今までの勢いは正直底辺だと思うんですけど、そのまま衰退する産業ではないはずです。いったんここで底を打って今後はその盛り上がりに期待できると思うし、私自身、期待したいですね。
で、調査の結果、回グルの解散にコロナは関係してました?
- 雲野
作っている最中も、作り終えた今も「コロナは関係なくないじゃんっ!」と思ってます(笑)。でも回グルにではなく、私自身の気持ちに関係していたと再認識しました。
気持ち。雲野さんはコロナの影響下にあったと。
- 雲野
回グルは2019年9月から2020年12月まで活動していた……活動期間の前半がコロナ前、後半がコロナ後だったから、私はそれをモロに喰らってました(笑)。やっぱり不安な中、時間だけあると、人っていろんなことを考えちゃうんだなあって、あらためて思い知らされました。
あっ、そういえば、修士制作ということは「大図解」は指導教授のアドバイスを受けながら作ったんですよね? 最初にそのテーマと内容を伝えたときの教授の反応は?
- 雲野
実は指導教授がフィロソフィーのダンスの奥津マリリさんのオタクでして……。
おー!
- 雲野
だからすごく理解がありました(笑)。というか、大学時代からその先生の研究室に入っていたので「私、アイドルやります!」って報告するほうが先でしたし。「先生、お披露目ライブが○日にあるんですけど空いてます?」って。
先生はお越しになりました?
- 雲野
そのときに撮ったチェキが今も研究室に飾ってあります(笑)。「大図解」を作ったことで前向きなアイドルゾンビになれた……「今はどこにも所属してないけど、私はやっぱりアイドルだし、またグループでやりたいな」という気持ちが湧いてきているので、そのデビューライブにも来てもらいたいですね。
PROFILE
雲野ぼん
くもの・ぼん
8月22日生まれ。2019年9月から2020年12月まで、セルフプロデュースアイドルグループ・回せ!グルーヴ開発部の一員として活動。ボーカルやダンスのほか、衣装やCDジャケットなど、グループ関連アイテムのデザインも手がけていた。グループ解散後となる2022年3月、当時在学していた筑波大学大学院生として、社会学的・統計学的調査のもと、コロナ禍前後のアイドルシーンにまつわる各種データを収集し、その結果を全高3メートルのパネルを使って絵解きする修士制作作品「コロナ禍地下アイドル大図解」を発表した。
取材・文・撮影/成松 哲