INTERVIEW

INTERVIEW

“学級新聞”を発行する かすみ草とステラの渡辺萌菜はなぜ目標を書き続けるのか?「みんなと同じ目線で、一緒に手を取り合って作る“もえなす”なんです」

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「私、今すごくアイドルをやりたいんだな」

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経緯も理由も「まさか」でしたが、この流れだと「ほかの5人に自分とのギャップを感じる」など、最初は大変だったんじゃないかと思います。

  • 渡辺

    ですね……。みんなのことをすごく客観的な目で見続けてたし、私自身もなりたいアイドル像になれないところがあったり、家族も「どちらかといえばアイドルで生きていくのは反対」って気持ちでしたし。楽しいし、やりがいはあるけど毎日必死に過ごしながら、「この人生って正解なのかな」みたいな葛藤もありました。「自分はアイドルだ」って始めちゃったからには、それまでの守りの生き方からは変わらなきゃいけなかったですし。

では、最初に心の底から「アイドルになってよかった」と思えたタイミングは?

  • 渡辺

    「よかったかも」の始まりは……昨年の春頃、「リーディング エクストロメ!!」で福島に行ったときです。前の週に自分が遠征している最中に、祖父が亡くなっちゃって。それで、葬儀に向かっている途中で父が亡くなっちゃったんですよ。

    その「間に合わなかった」っていうのがすごく辛くて、それまで「体調崩しても絶対に休まないぞ」って強い気持ちを持っていたんですけど、初めてアイドルから、やらなきゃいけないことから離れたんです。5日間くらいかな?

すみません。そんなお話を……。

  • 渡辺

    全然、もう公開もしてるので大丈夫です! ……その5日間、SNSも更新したかったけど「休んで」って言われて、半強制的にお休みになった感じだったんですけど。祖父や父のことを整理しながら、「これがやりたい」ってアイドルのことが頭に浮かぶのを、全部無視して抑えて。……そのうずうずした期間で、「私、今すごくアイドルをやりたいんだな」って思ったんです。

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なるほど……。では、復帰するステージが「リーディング エクストロメ!!」ですか?

  • 渡辺

    そうだったと思います。で、その福島のステージに立ったら、「あれ? この方、遠征しない人だよね?」って方もいて、福島とは思えないくらい私のファンの方々が来てくださっていて。みんな、巨大なぬいぐるみとか水鉄砲みたいなものを持ち込んでたり、よくわからないくらい面白い服装だったり、自分が歌い出しをする『春風』ですっごい大きなコールを入れてくれたり……。すごく笑わせにきてくれたんですよね。

  • 渡辺

    その福島が、初めてといってもいいくらい、メンバーのことをあんまり考えずに自分自身で楽しめたライブだったし、こんなにも自分を気にかけてくれる、一緒に寄り添ってくれる人がいたんだっていうのも衝撃だったし。……メンバーもいっぱい目を合わせてくれたり、手を握ってくれたりとかもして(笑)。それまで自分が、背負う必要もないのに背負っちゃってたことが、一気に軽くなって……「あ、楽しい。アイドルをやっててよかった」って思った日でした。

きっとアイドル冥利に尽きる光景でしょうし、それまで「当たり障りない形でしか見せられない」と思い込んでいた渡辺さんが、そこまでの2年間、どれだけの人に愛されるようになったのかを表すエピソードですね。

  • 渡辺

    その頃には、お便りとか学級新聞は始めてたけど、それでも自分のスタンスは「私が弱音も吐かずに走るから、ついてきて」だったんです。でもこの出来事をきっかけに、せっかく応援してくれるみんなに隠し事をするのも嫌だなと思って。お便りに何があったのかを書いたら、みんなも「自分も実はこういうときに……」「自分はこういうつらいことがあってさ」って教えてくれたんです。

    それまでの“もえなすチーム”は、お互いの熱さと熱さを出し合うだけだったけど、それからみんなの境遇とか弱い部分とかもすごく知れた気がして。嬉しかったし、本当に支えになりました。

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「アイドルになってよかった」と思うと同時に、渡辺さんの中のアイドル像も変わったタイミングだったんですかね。

  • 渡辺

    だったと思います。自分が困ったり、わかんないことがあったらみんなを頼れるようになりました。例えばインタビューの前に「自分がどんな人かわからないから、みんな教えて!」ってSNSで投稿してみるとか。あと、自分の中で「こうなりたい」って思う目標ができたらそれも共有して。「ファンの人みんなと同じ目線で、一緒に手を取り合って作る“もえなす”なんだ」って思うようになりました。……あの日の福島。やっぱり自分の中では一番忘れられない景色ですね。