アイドルのミュージックビデオには、古今東西、多くの名作がある。そんな名作MVを紹介していく『古今東西アイドル広辞苑』。不定期連載の第1回目は、「あ行」から!
ガラスガール編集部による、名作アイドルMV広辞苑。ぜひご覧下さい!!
【あ】
アイドルなんてなっちゃダメ!ゼッタイ! (せのしすたぁ)
福井県のロコドルの雄・せのしすたぁの代表曲で、9年前、3人組だった時代(現在は映像中のボブカットのまおさんとベースボールキャップのゆうたんの2人組)に制作されたMVがこちら。
映像のイントロと終盤に3人がアイドルになった後悔と覚悟の言葉を語るインタビュー映像をインサートしつつ、福井だろうと都内だろうとフロアをブチアゲまくる彼女たちのライブの模様と、楽しそうながらも、どこか寂しく見えなくもない自撮り風オフショットを織り交ぜる。まさに楽曲のメッセージに寄り添った映像を制作している。〈将来だって保証はない ブームになって のっちゃダメ! 実際〉、〈賞味期限も長くはない〉と歌いつつも、10年以上の長きにわたってライブアイドルの一線を張っているまおさん、ゆうたんの2人にリクペクトを捧げたい。
アイドルばかり聴かないで(Negicco)
色の使い方もレトロメイクも映像の流れもお洒落で、アート作品のような視覚で印象に残るMV。
「アイドルファンのボーイフレンドを待つ女の子のもどかしさをキュートに歌った楽曲」ということで、いじらしい女の子というよりは、淡々と冷静な表情が余裕を感じさせるし、感情のない「ざんね〜ん」がオタクの心をえぐってくる。
「ふつうの人はCDなんてもう買わなくなった」でCD風の小道具が出てくるのも時代を表していて面白い。
後半の「ねえ、わたしを見て」の「ピッ」の効果音からは、不満な感情を表に出した彼女役の演技。でも、「ねえ、そんなにアイドルが好きなら じゃあ、Negiccoにしてね」からはただのNegiccoとしてわちゃわちゃしている姿が可愛く、「結局、Negiccoに心をもっていかれたな」という気持ちにさせられる。歌詞だけじゃなく映像も巧妙。
青より青く(かすみ草とステラ)
同年1月に公開されていたオリジナル版ではなく、彼女たちのワンマンライブ「大青春祭」のバックモニター用に新たに作られた。
『春風』『クローバーに纏わるいくつかの出来事』『咲き誇れ!わたし、』…と、同じ世界線を描いた6作品のラストを華々しく飾る作品。
UP(Devil ANTHEM.)
デビアンの紹介曲……と単純に思っていたら、その衝撃に口が空いたまま見続けてしまうMV。
全編、陶器のような材質のCGのメンバーが、にょろにょろ踊ったり、全速力で走ったり、顔だけになって回ったり。投げられた変化球は、想像の斜め上の新ストライクゾーンへと向かっていく。
まさに「奇妙さとカッコ良さの同居」。中毒性がやばすぎて、気がついたら何度もループしてしまう。
初期の『龍が如く』かのような映像は、ハマること間違いなし。