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中野サンプラザはなぜ「アイドルの聖地」になったのか? 若者のために生まれ、ドラマを生んできたホールの半世紀

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ハロプロに続き、様々なアイドルのドラマが生まれて聖地化

「00年代は、ハロプロに続き、さまざまなアイドルがその舞台に立ちました。キャパシティ的にもインディーズグループがメジャーになっていく登竜門としてちょうどいい規模であったのも大きいですね。中野での単独公演がライブアイドルの目標になったようですね」(イトウさん)

「アイドルの聖地化」は冬の時代を経たこの00年代に定着していく。20年以上ハロコンが開催されてきた中野サンプラザでは、単にコンサートの会場になっただけでなく多くのドラマも生まれた。

2004年1月14日には、ファンクラブ限定イベントでBerryz工房のデビューが決定。SUPER☆GiRLSのオーディション最終審査が行われ、12人のスターティングメンバーが決定したのも中野サンプラザだ(2010年6月12日)。

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中野サンプラザデビューを記すSUPER☆GiRLSのプロフィールブック

また、2011年1月2日のハロコンでは、モーニング娘。の9期メンバーのお披露目と、ハロプロエッグから譜久村聖もモーニング娘。への加入サプライズで発表された。号泣する彼女の姿はファンの記憶に強く残っている。

デビューがあれば別れもある。ももいろクローバーの早見あかりがグループを去った最後の公演『ももクロ春の一大事~眩しさの中に君がいた~』(2011年4月10日)も中野サンプラザで開催。プロレス風のパフォーマンスを取り入れたり、仮面をかぶっての歌唱など卒コンのイメージをくつがえす演出の数々。ももいろクローバーZへの改名もここでなされ、ももクロにとってメモリアルなステージになった。

なかには3人のメンバーの卒業公演のはずが、MCでメンバー同士が感情をぶつけあって、離脱をめぐって応酬が繰り広げられたDorothy Little Happyのライブ(2015年7月12日)といったものも。アイドルファンにとって伝説的なライブも2000年代以後生まれていった。中野サンプラザは、そういった「意味のある場所」「ドラマの生まれる場所」となり、“聖地”としての地位を確固たるものにしたのだ。

さらに、時東ぁみ、でんぱ組.incなど、アキバ系もイベントを多く開催。さらに『アイドルマスターミリオンライブ!』の第1回ライブ(2014年6月7日~8日)や、アニメ劇中の展開と同じようにユニットで中野サンプラザ公演を行った声優アイドルユニット『シャインポスト』(2023年3月11日)など、声優アイドルのライブも多い。サブカルに強い中野という土地柄ともマッチして、さまざまなアイドルたちがそのステージを目指した。

閉館を前に連日開催中の中野サンプラザ音楽祭では、ハロプロ各グループやでんぱ組.inc、虹のコンキスタドールなども出演し、ホールに別れを告げた。最後のアイドル単独公演は、2022年、記録的な大バズりを見せたFRUITS ZIPPERだった(6月26日)。

半世紀の間、若者とアイドルに夢を見せてくれた中野サンプラザという空間。7月2日でしばしのお別れになるが、新しいホールでも素敵なライブがたくさん生まれる、そんな希望を託していきたい。

取材・文/大宮高史 画像提供/中野ロープウェイ