メンバー本人が着たいものを着られること
最近では、アイドルがデザインした衣装を実際に制作する、“メンバーデザイン”の衣装も多いとか。
- たけうち
増えてきてますね。全体がかっちり決まっていないニュアンスでの希望もあったり、逆にアイドルさんご本人がイラストを描いてくださって、それを再現するようなこともあったり。形はさまざまです。いただいたアイデアを形にするのは楽しいですが、自分がデザインする場合よりもプレッシャーはありますね。
プレッシャーですか。
- たけうち
アイデアがあるということは、ご本人の頭の中に描かれている“正解”があるはずなので。「それが本当に汲み取れているのか?」「ちゃんと通じ合えているのか?」って、いつも心配になるんです(苦笑)。なので、この制作方法のときはかなり詳しくヒアリングするように務めてます。細かいライン一本でも勝手に加えたりはせず、必ず「これはどうですか?」って。
たけうちさんのほうが絶対にデザインに詳しいはずなのに! どこまでもアイドルファーストですよね。
- たけうち
やっぱり“メンバー本人が着たいものを着られること”がメンバーデザインの良さだと思うので。せっかくデザインをいただいているのに、ご本人が「これはいらなかったのに……」という気持ちになるのはお互いに残念じゃないですか。
- たけうち
ヒアリングの例でいうと、このLuce Twinkle Wink☆のバレンタイン衣装。メンバーの宇佐美幸乃さんからイラストをいただいて制作した衣装なんですが、フィッティングのときに、イラストにはなかった「ボタンとかで、ちょっとゴールドを足したいです」「スカートにラインを入れたいです」という希望が出てきたんです。
その場で幸乃さんと、「キラキラ感を足すんだったら、ボタンだけじゃなく全体に加えたほうがかわいいかも」「ラインはスカートだけに入れるんじゃなくて、袖にも足したら全身でチョコのラッピング感が出せそう」という私のアイデアを相談して。納得していただいて仕上げられたので、完成したときにすごく喜んでくださって。これもまた嬉しかったですね(笑)。
この衣装はバレンタインやチョコがモチーフということで、リボンやベルトに光沢があるのが新しいなと思いました。
- たけうち
ほかの衣装であんまり使わないような、エナメルっぽい生地にこだわりました。でも実は、これも幸乃さんのアイデアで。幸乃さんは頭の中にすごく細かいアイデアがあって、それを詳しく指示してくださる方ですごく助けられました。おかげで私も、「幸乃さんが着たいものが作れた!」という満足感がありましたね。