「自分も頑張らなきゃ」と前を向かせてもらえた
■推しと繋がるために、アイドルを目指す
でも、アルバイトを辞めたら推し活に使えるお金が減ってしまう。それは嫌だなあ。と考えていたとき、ふと思ったのです。
「自分がアイドルになれば、推しと無料で2ショットが撮れるじゃん」。
「仲良くなれば連絡先を交換したり、プライベートで遊びに行ったりできるかも!」
そうして新しいアルバイト先を探すのではなく、アイドルのオーディションを再び受け始めました。


もちろん、オーディションは簡単には受かりません。
dropさん(ナナランドさん)、まねきケチャさんが所属していたコレットプロモーションのオーディションには2回落ち、坂道合同オーディションは2次審査で落選。スターダストプロモーションさんのオーディションは書類すら通りませんでした。
ほかにもたくさんのオーディションを受けましたが、最終審査まで進んだものも、事情があって辞退することになりました。
「ああ、やっぱり私はアイドルにはなれないんだなあ」。
そう思い、また夢を諦めて大学受験に向けた勉強を始めました。
■大阪北部地震で、もう一度夢を思い出した
そんな中、2018年6月18日に大阪北部地震が起こりました。
当時、私は自宅から離れた学校に通っていて、地震が起きたときは一人で電車に乗っていました。
最初に緊急地震速報の音が鳴ったときは、「人身事故かな?」「誰かが緊急停車ボタンを押したのかな?」などと考えていました。
そんな時間も一瞬で、その直後に「地震です」というアラームが鳴り、強い揺れが襲ってきました。あっという間に車内の人が雪崩のように倒れ込んできて、何が起きたのか分からないほどでした。
揺れが落ち着いてから母に電話をし、お互いの無事を確認しました。
母は自転車で迎えに行くと言ってくれたのですが、余震で母が怪我をしたり、何かの下敷きになって亡くなってしまったりするのが怖くて、「一人で帰るから来ないでほしい」と泣きながら伝えました。
それでも母も同じ気持ちだったのか、結局お互いに覚悟を決めて中間地点まで向かうことになりました。
モバイルバッテリーを所持しておらず、充電が切れるのが怖かったので、地図を見る時以外はなるべくスマホを開かないようにしていました。
でも、しばらく道なりに沿って歩いていた時一曲だけ音楽を聴こうと思いました。
再生したのは、まねきケチャさんの『きみわずらい』。
歌い出しから聴き慣れた声が流れてきてすごく安心しました。
怖くて不安だった気持ちが少し落ち着いて、「自分も頑張らなきゃ」と前を向かせてもらえました。
無事に母と合流できた頃には、スマホの充電は残り1%。
今思い返しても、あの時『きみわずらい』を聴いたことは忘れられません。
地震が落ち着き、また学校に通えるようになってからも、あの時感じた安心感や、前を向かせてもらった気持ちがずっと心に残っていました。
そして、改めて思ったのです。
やっぱり私はアイドルになりたい。
アイドルという存在に救われた経験があったからこそ、今度は自分が誰かに元気を与えられる存在になりたいと思うようになりました。
