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【マンスリーアイドルコラム No.094】ツキナミ 水琴凛 #1「恐怖に、やみ憑きになる」(10月水曜担当・全4回)

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何も見えないからこそ、人は想像し始めてしまう

■死の怨み、生の罪

一般的に語られるセオリーとして、「幽霊というものはその土地や特定の人間に怨みを抱いた者が、死んでもなお怨みを残して彷徨っている」というものですよね。

いわゆる“怨霊”などとしても語られるものです。
私自身も、幽霊と“怨み”の結びつきはとても根深いものだと思っています。

しかし私は、「必ずしも死者自身の恨みから幽霊が発生する訳ではないのでは?」とも考えています。

例えば、理不尽に死に追いやられた歴史人物が居て、その後に凶作や災害が起こる。
すると、その人物を死に追いやった側の生きている人間が、「これはあの人の祟りだ!」と騒ぎ、そこから祀られたり物語として語られるようになる。

こういった事は往々にして日本の歴史上たくさん起こってきた訳ですが、これは「生きている人間の罪の意識が作り出した霊」なのではないかと思うのです。

凶作だって災害だって、いつ起こってもおかしくない事なのに、「あの人の祟りだ」と結びつける。生きている人間の罪の意識が霊を勝手に作り、そして祀り、後世に語り継いでいく。

こうする事で、その人に対する罪悪感を、どうにか自分たちの中で折り合いをつけたいという、生きている人間たちの少々自分勝手な感情がそこにはあるのではないでしょうか。

日本の古くから伝わる怪談や、村や島を題材としたホラー映画などは、特に“怨み”という感情を軸として霊の存在を描く事がとても多いように思います。

そういったものを見ていると、“生きている人間達の罪悪感”という感情が根底となって、怨霊の話が受け継がれているのではないか? と考えずにはいられないのです。

つまり、死んで霊となる者の感情と、その者に関わった生きている人間の感情。
その二つが複雑に絡み合う事で、霊という存在が生まれるのではないか。私はそう考えています。

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みなさん、ここまでどうでしょうか。

中々のホラーコンテンツ好きじゃないと、日常の中でこういう風に幽霊に対して真っ向から考える事って無いですから、読んでいて、きっと不思議な気持ちになっていますよね(笑)。

次はホラー映画などに見られる“ホラーの系統”についてお話ししていきますよ。

■理不尽または因果、はたまた……

これはホラー好きの人達の中でも好みが分かれるポイントだと思うのですが、

①登場人物が理不尽に恐怖に襲われるパターン。


②何らかの原因または因果によって、巡り巡って登場人物に恐怖が訪れるパターン。

私は、まずこのように大まかに分けています。

①は日本では珍しいですが、アメリカなどのホラー映画などでそこそこ見るパターン。
有名な『ファイナルデッドシリーズ』などはまさにこれで、死の順番(リスト)通りに、日常の些細な事が重なって、登場人物が次々と無惨な死を遂げていくという話です。

死んでいく登場人物は何か悪い事をした訳でも無く、ましてや登場人物の祖先に忌まわしい記憶があり……といったものでもないのです。

そもそも、この作品には特定の幽霊という存在は出てこず、登場人物の一番の敵は「死の運命」という姿も感情もない、幽霊以上に抗いようのない存在。

理由も無い、本人達に落ち度も無いのに登場人物がグロテスクに死んでいく様子は理不尽極まりなく、まさに絶望そのもので本当に強烈です……。
しかし、あまりにも理不尽だと、妙な清々しさを感じるのが面白い所かつ好きな所です(笑)。

続いては、②何らかの原因または因果によって、巡り巡って恐怖が訪れるパターン。

大体のホラー映画や怪談はこのパターンである事が多いですね。特に日本のものは本当に多い。
そもそも、怪談に留まらず、日本は昔話など、勧善懲悪をベースにしたお話がとても多いです。こういったものをベースに“先祖”や“地縁”などといったテーマが絡んでくると、一気に日本のホラー感が出ますね……!

悪いことをした人は報復され、それが巡り巡っていく。単純な理論ではありますが、様々な物語の基盤となっています。

私の場合、こういった勧善懲悪的な価値観を軸とした怪談などを読んで、物事の道理や人にしてはいけない事を学んできた部分があります。

有名な『八つ墓村』などもこういった、因果によって恐怖が訪れるというパターン。
亡き母のルーツを辿る主人公が、自分の血筋に隠された秘密や、村に続く因縁に巻き込まれていくストーリーですが、先ほどお話しした“怨み”の話にも少し繋がりますね。

①の理不尽パターンとは打って変わって、物語全体が人の怨みや欲望にまみれていて、湿り気のある陰鬱な雰囲気を作り出します。
因果関係がしっかりあると、いわゆるジャンプスケア(突然の大きな音や音楽で驚かせる手法)などで観客を怖がらせるだけでなく、しっかり物語全体として楽しむ事ができます。何より、事の仕組みに気づいた時のじわじわと恐怖が肌に染みてくる感覚がたまりません。

私はかなり何事も理由を求めてしまうタイプなので、②の因果関係がしっかりあるホラー映画は飲み込みやすく、没入もしやすいです。

また、①とも②ともまた微妙に違った、③主人公の何気ない行動が最悪な理不尽を招く、といったホラーも私は大好きで。

それは、“発端は主人公の行動ではあるが、招いたものは最悪の理不尽”という二つの部分を併せ持ったものです。
派手な怖さがある訳でもない、主人公に恐ろしい因縁がある訳でもない、しかし、このタイプのホラーは肌にひんやりとした感覚を与えるような、嫌な恐怖を与えてくるのです。

「他人の物を取り間違えて持って帰ってきてしまう」、「道端で困っている人に声をかけられ立ち止まる」など、日常の中での何気ない行動と、いつどうやって訪れるかわからない不幸が重なって最悪の結末が訪れるというものです。

以前放送されていたテレビドラマ『トリハダ』などはこういったものが数多くあります。

日常の些細な行動が原因となってあっけなく不幸が訪れ、その瞬間、当たり前だと思っていた日常もあっけなく崩れ去ってしまう。

その”あっけなさ”が私はとても怖いのです。

ちょっとした行動とちょっとした不運が重なれば、簡単に終わりを迎えてしまうものなのです。私の日常も、あなたの日常も。

ここまで大きく三つに分けてみましたが、ホラーというものはとても奥深く、ホラーの中でも観客にどんな恐怖をどうやって伝えるのか、一つとして同じものはこの世にありません。

「人には人のホラー」です。

ジャンプスケアを盛り込み、ジェットコースターのように楽しめるようなホラー映画が好きな方もいれば、謎を解いて恐怖をしみじみと理解し慄くのが好きという方もいます。
色んな方向性のホラーをたくさん味わって、自分が何を恐れているのかを知っていくことも、これまた面白いんですよね。

■ホラーは私にとって“癒し”

コラム初回、大好きな“恐怖”についていろいろと語らせていただきました!

“ホラー”は強烈な恐ろしさを与えてくる存在ですが、私にとっては現実を忘れさせてくれる癒しでもあり、良い事悪い事を教えてくれた教材のような存在でもあります。

このコラムを読んで、ホラーという存在、恐怖という感覚に対するみなさんの認識が新しいものになっていたら嬉しい限りです。

次回はそんな私のこれまでの半生を紹介していきたいと思います!

ここまで読んでくれて本当にありがとうございました。

来週水曜日、またここで会いましょう。

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PROFILE

水琴凛(ツキナミ)

みこと・りん
3月13日生まれ。東京都出身。
カンナギマロプロデュースアイドル「ツキナミ」アクアムーン担当。
誰にも負けない事は歌声のパワフルさ。
好きな食べ物は焼肉のタレとケチャップ。

オフィシャルホームページ

https://tsukinami.bitfan.id/

文・写真/水琴凛(ツキナミ)