「戸川純さんどう?」「ええっ? 出てくれるんですか!?」
大黒さんは、バンドをやられてたのは存じ上げてるんですけど、アイドルにハマられたキッカケは何だったんでしょう?
- 大黒
バンドは高校生の頃からやってて、大学生の時にももクロ(ももいろクローバー(Z))に出会ったんですよ。それでもうどハマりして。それがアイドルに興味をもった最初のキッカケで。当時ももクロは『QUICK JAPAN』で特集されたりして、アイドルという場でカルチャー要素と音楽要素が組み合わさって面白いというのが直感的に分かったんですよね。それが本当に原体験ですね。
この連載では、何度もテーマのように楽曲派の閉塞感というか、どうやったら楽曲派のグループが売れるのかって話をしてるんですけど、大黒さんは楽曲派というシーンの状況に関しては、危機感をお持ちだったりしますか?

- 大黒
ありますね。もう楽曲派が風前の灯と言われて長いですけど、僕が一番現場の肌感覚で本当にヤバいかもと思ったのが、RAYの盟友だった代代代とクロスノエシスが解散したタイミングですね(前者は2023年8月、後者は5月)。その前にヤなことそっとミュート(2022年6月)とsora tob sakana(2020年9月)が解散してて、もう誰の背中を追いかけていいか分からなくなった。関係者と話してても、その4つのグループがいなくなったのが呪いのように会話に蔓延していて、みんなず〜んと落ち込んでた感じでした。ただ追いかける背中がなくなったってことは、もうRAYが突破するしかない。RAYが後続する楽曲派のグループの背中になるしかない。これは僕たちがやらないといけない使命だと思って、常にそのことを考えながらいろいろ実践してる感じです。RAYが単独で突き抜けながら、同時にシーンの底上げもやるという。
もはや幕末志士並みの志ですけど、具体的に方法論を変えた部分とかあるんでしょうか?
- 大黒
RAYが最初に主催対バンを始めた時は「Neighbor?」ってタイトルだったんですよ。その名の通りご近所の、近い界隈のグループで連携して、一緒にシーンの底上げをやっていこうって意図で、その気持ちは今の、寺田さんにも出てもらった大塚のサーキットイベントに継承されてます。でもそのやり方だけじゃ足りないってはっきり分かったので、RAYが単独で突破するためにやってるのが、主催対バンの規模を地道に少しずつ大きくしていくことですね。大塚はうちのホームで、大塚のHearts+という箱はずっと好きな会場なんですけど、渋谷でやったらどうだろうってshibuya CYCLONEでやったり、新宿だったら? で新宿MARZでやってみたり。今一番多いのが下北沢のシャングリラです。シャングリラは400人くらい入るので、そこを定期・不定期で自分の資金石にするっていうか。先に押さえっちゃったんだから、やらなきゃいけないよって自分にプレッシャーをかけて、アイドルだけじゃなくてバンドも含めて、誰がみても「おっ!」ってなるような組み合わせを狙っていく……。今年の2月にシャングリラで戸川純さんと共演できて、4月には渋谷のduoでの主催で、ZAZEN BOYSとdownyで3マンができたんですよ。
そのへんの流れは、見てて「RAY、凄いことになってきてんな……」って印象でした。実際、例えば戸川純さんはどうやって呼べたんですか?
- 大黒
それは本当に偶然というか……。やっぱりバンド方面のブッキングは本当に大変で……。ある時に20組連続で断られたことがあったんですよ! 日程はもう決まってたから、本当に心臓が止まりそうになって(笑)!! ただその過程で、最初は1人であちこちに突撃してたのが、本当にヤバくなってきてからは、周りのいろんな人に「助けて〜助けて〜」って言いまくって! そしたら大黒が頑張ってるからって、いろんな人を紹介してもらったりとか、人脈と信頼関係がすごく広がったんですね。その後その時に知り合った方と、2月の主催について話してたら、先方から「戸川純さんどう?」って言われて、「ええっ? 出てくれるんですか!?」「聞いてみることはできるよ」って……。そこから実現した感じなんですよ。さっき偶然って言いましたけど、偶然ってトライアルアンドエラーの果てというか、努力の積み重ねでしか起きないだな〜って本当に思いましたね。

やはり戸川純さんとかZAZENと共演することで、今までのアイドルオタク層とは違う層を呼び込めてる実感はありますか?
- 大黒
具体的にそれをやってこれだけ数字が伸びったってものはないんですけど、やっぱり反応は大きいし、物販に立ってると「初めてなんですけど、チェキって何ですか?」って人がコンスタントに来るんですよね。だからチリツモかもしれないけど、絶対広がっている実感はあります。戸川さんの時とか、半分以上が戸川さん目当てだったので、その人たちに見てもらえるのが本当に大きいし。メンバーにとってもすごいいい経験だったと思います。楽屋で発声練習とか立ち位置の確認とかしてたら、戸川さんから「偉いね〜頑張ってるね〜」って言って頂けたらしい(笑)。感動ですよ。
