自分ができる活動の中だとアイドルだけなんじゃないか
卒業発表時、Xに投稿したファンへのメッセージにも「アイドルを続けることを決めました」と書いていましたが、今後はソロアイドルとして活動していくんですね。
- 岡田
結構、発表ギリギリまで悩んでたんです。それこそ研究に絵、シナリオづくりって、アイドル以外にもやりたいことが多すぎるので、卒業したらクリエイター業だけでやっていくつもりでした。でも、肩書が「アイドル」だからこそできることもまだやりたいなと思って。
肩書がアイドルだからこそ?
- 岡田
私のファンの方って、誰かの親だったり、学校の先生だったり、警察官だったり……社会的に誰かをケアする側の人がたくさんいて。虹コンでいる間、そういう偉い、ちゃんとした立場の人に「頑張ってるね」「無理しないでね」って言葉をかけたことが多かったんです。
で、ふとしたときに、「誰かをケアする側の人のことを直接ケアしてあげられるのって、自分ができる活動の中だとアイドルだけなんじゃないか」と思って。
イラストレーターやシナリオライター、研究者ではファンの人と交流するイメージってわかないですもんね。
- 岡田
でもアイドルならファンの方と交流ができる。だったら、虹コンみたいなキラキラ王道グループアイドルではないけど、自分にできるペースで、ソロでアイドルをやってみようって。……なので卒業発表のギリギリのタイミングで、手紙に「アイドルを続ける」と書き足しました。
ちなみに、その発見には何かきっかけが?
- 岡田
結構俗っぽい発見の仕方なんですけど(苦笑)、『葬送のフリーレン』を読んだときに……主人公のエルフ・フリーレンが数十年ぶりにかつてパーティーを組んでいた僧侶と再会するんですけど、当時は「酒に溺れて過ごすのは楽しい」みたいな人だった僧侶が、“大人”として戦争孤児の親代わりになっているのに驚くシーンがあったんです。
フリーレンが「そんな人じゃなかったじゃん」と問いかけると、僧侶は「子供には心の支えになる大人が必要」「たくさん褒めてあげないと」と返してきて。フリーレンはまた「じゃあ君のことは誰が褒めてくれるの?」と返すんですけど。……そのシーンがすごく心に残って。
その後、フリーレンは「じゃあこの世では私が褒めるよ」と続けていましたよね。そんなやりとりを自分に置き換えてみた、と。
- 岡田
はい。私自身、アイドルとしてはあんまりいない「大学院生」という存在でもあって。普通の大人の人や社会と触れる機会もあるからこそ、その大変さがわかって、ケアすることもできるのかなって。
岡田さんらしい気づき方だなと思いました。ちなみに、ソロでの活動方針はもう決めているんですか?
- 岡田
実はもう、虹コンと並行しながら準備を進めているんです。今のところ、作詞やコンセプトづくりは全部自分でやりたいなと思っていて。研究している分野が近代文学で、好きな音楽がインターネットミュージック寄りなので、Future Bassとかのかわいい近未来的な曲に、大正ロマンのような世界観の歌詞を載せたらどうなるかな……とか。そんな感じで、自分が一番楽しめるものを作っていきたいなと思ってます。