海外レーベルに見つかり、日本から“はみ出す”
転機となったのは、2020年11月、アメリカを拠点にアジアのカルチャーを世界に発信する音楽レーベル「88rising(エイティーエイトライジング)」と契約し、2021年1月に「ATARASHII GAKKO!」として世界デビューをしてからだ。
この契約について鈴木氏と大坪氏は、「88rising側からアプローチがあったのだろう」とし、鈴木氏は「ASOBISYSTEMが海外進出に積極的であることも大きい」と話す。また、大坪氏は、「中国ではK-POP人気とはまた別に、日本式のアイドルも徐々に認知度を高めつつある。アジア全体を見ている88risingからするとそういう要素も契約に繋がったのでは」と語る。
また、世界デビュー後の3月にはTikTokフォロワー数が100万を突破(現在は670万超!)。その後もフォロワーは増え続け、SUZUKAはその理由のひとつに、「ユーザーは海外の人が多いので、海外の曲を使って私たちなりに激しく踊ったりしたらうまいこといった(笑)」と話している。(2021年10月「dTV Presents KPPとBOSE」より)
同じく2021年、「ビースティ・ボーイズ第4のプロデューサー」と称されるマニー・マークをコーチとし、ロサンゼルスで2カ月半、音楽制作に専念。9月に『Pineapple Kryptonite』を、11月に同曲を含む5曲を収録したEP『SNACKTIME』を全世界リリース。ロサンゼルスで開催された、88rising主催の2万5000人規模の巨大フェス『Head in the CLOUDS』にも出演した。
“TikTok”、“ライブ”、“楽曲”で海外ファンのハートを掴んだリーダーズ。翌年2022年1月の『スッキリ』では、「アメリカのフェスを沸かせる注目のセーラー服集団」として紹介され、スタジオで帰国後初のTVパフォーマンスを披露し、お茶の間に広く知られることとなったのだった。まさに逆輸入で流行り出した瞬間だった。
――そもそも、なぜアメリカで受け入れられたのか。鈴木氏の見解を聞いた。
「アメリカで受け入れられているアジアの音楽といえば、K-POPになると思いますが、磨き上げられたビジュアルのK-POPとは違うベクトル。セーラー服と4人の個性的なルックスも目を引いたと思いますし、海外の人からはより幼く見えているところもある中で、あの圧倒的なパフォーマンスは大きなギャップを与えているのではないでしょうか」
世界デビューの1年後、2022年1月の恵比寿リキッドルーム(キャパ1000人)『無名ですけど凱旋ワンマン』。さらに5月のZepp DiverCity(キャパ2500人弱)『むむむ!?無名卒業ライブ』もソールドアウト。ライブの規模も一気に拡大した。