本日2024年1月9日。初の日本武道館公演『青春襲来』を行なう4人組グループ・新しい学校のリーダーズ。
昨年、『オトナブルー』の“首振りダンス”がバズり、日本レコード大賞優秀作品賞受賞、紅白歌合戦初出場など、日本を代表するアーティストにまで上り詰めた彼女たち。
数年前までライブアイドルとも多く対バンしていたこともあり、「同じ対バンに出ていたグループがなぜここまで突然売れた?」と、単純に不思議に思うアイドルファンも多いのでは? 結成8年目の大ブレイク。その理由を識者のコメントとともに考察する。
デビュー時から話題を集めるもくすぶっていた感のある6年間
新しい学校のリーダーズは、2015年7月にASOBISYSTEM、TWIN PLANET、テレビ朝日ミュージックの合同マネージメントにより、当時高校生のMIZYU、中学生のRIN、SUZUKA、KANONで結成。デビュー時からロッテFit’s、翌年に湖池屋といった有名メーカーとのタイアップやコラボが続き、事務所の力の入れようがうかがえる。
2017年にはビクターエンターテイメントからメジャーデビューし、2018年には『無名ですけどワンマン〜有名になんかなりたくない。なりたいけど。〜』という自虐的なタイトルで初ワンマンを開催。2021年までの「無名ですけど」シリーズは、渋谷WWW、渋谷WWW X、Veats Shibuyaと、500〜700人規模の会場でソールドアウトは続くものの、大幅に突き抜けることはなかった。
会場の規模でいうと、ややくすぶっていた感のあるリーダーズだが、当時の印象はどうだったのか。数々のライブレポートやインタビューを手がけるアイドルメディア『Pop'n'Roll』編集長の鈴木健也氏と、『ゼロからでも始められるアイドル運営』(コア新書)の著者であり、アイドルの他、さまざまなトークイベントを企画制作する大坪ケムタ氏に話を聞いた。
「初めて新しい学校のリーダーズのステージを観たのは、『アイドル横丁夏まつり!!2018』。現在と変わらないセーラー服姿とアグレッシブなパフォーマンスは、他のアイドルと比べると異色で、いわゆる“アイドル”ではなくダンス&ボーカルユニットのような印象を受けました」(鈴木氏)
セーラー服ということもあり、見た目でアイドル的な雰囲気も感じさせるリーダーズだが、2019年の『TOKYO IDOL FESTIVAL』(=TIF)初出演の際、本人たちはTwitter(現:X)で「アイドルではない」ことを表明している。
「TIF出演歴やアイドルとの対バンもありますが、主催イベントでの対バンはあいみょん、アーバンギャルド、SAKANAMON、崎山蒼志(リーダーズ同様、2023年のレコ大に出演)といったアーティストが中心で、アイドルには寄らない方針を最初から感じさせました。それもあって、ファン層はアイドル好きとは正直重なる感じはしなかったです」(大坪氏)
鈴木氏も、「楽曲は、奇才・H ZETT Mがプロデュースしていたこともあって、音楽好きが注目していた印象ですが、いわゆる“楽曲派”とは違う立ち位置にいたと思います」と振り返る。
それでは、大ブレイクの片鱗はあったのだろうか。
「楽曲の強さと圧倒的なパフォーマンス力があったので、希望を込めて、アーティストとしてブレイクする可能性はあると思っていましたし、後出しじゃんけんのような言い方になりますが、日本より海外でウケそうだなと思っていました」(鈴木氏)
トークイベント『tipToe.椋本真叶と日野あみのピノムック放送部 REC5』(2019年9月)で、ゲストのSUZUKAと共演しているケムタ氏もパフォーマンス力の高さは当然として、「キャラの強さはTVでも目を引きそうだった」と話す。
メガネがトレードマークのSUZUKAは、大阪出身の関西弁で、子どもの頃は芸人を目指したこともあったそうで喋りも達者。2022年3月には朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ)のコーナーでマンスリーMCに抜擢されており、そのキャラの強さとトーク力も光っていた。
アイドルシーンだけで見ると予測できなかったが、彼女たちの自己紹介「個性や自由ではみ出していく」で言うところのアイドルシーンからはみ出し、広い視野で見れば、売れる土台はあったといえるだろう。