母が「RAYの『ATMOSPHERE』よりも、つい代代代のを聴いちゃう」って(笑)
そして2月1日にはこの3組がそれぞれ制作した同題異曲が収録された『ATMOSPHERE』がリリースされました。制作が決まったときってどういうお気持ちでした?
- 梨央
実は「制作します」って話を聞くちょっと前にちょうど「スプリットツアーをしたい」って思っていて……。
誰と?
- 梨央
「誰と」というよりも「スプリットツアー」をしてみたかったんです。
- LAKE
なんで?
- 梨央
やったことなかったから(笑)。そしたらホントにやることになった上に、好きな2組とできることになったから「誰か、私の気持ちを読んだのかな?」ってビックリしました。
- 内山
私もこの3組で音源を出せたことにはすごく意味があると思ってます。RAYも代代代さんもクロノスさんもすごくこだわりをもって自分たちの音楽を届けているグループだから、それぞれがそれぞれの色を出しながらも名前が同じ曲を同時に発表するのは私自身にとってもそうだし、聴く方にとっても面白いかなって。
- LAKE
あと、単純に1枚のCDの中に私たちの名前と好きなグループさんの名前が一緒に並んでるのもめちゃくちゃうれしいですよね。
それぞれご自身のグループの『ATMOSPHERE』に対する印象は? まずRAYの『ATMOSPHERE』について。
- 内山
「なんか『イエーイ!』とか『Ah!』とか言ってる!」。
- 梨央
確かに(笑)。
- 内山
今までのRAYの曲の中にも明るいものはあったんですけど、ここまで楽しさとか明るさに振り切ったものはなかったから、最初にデモを聴いたときは新鮮だったし「こういう曲で勝負するんだな」って驚きました。
- LAKE
でも「新しいはずなのに、なんかもうRAYさん!」って感じなんですよね。
- 梨央
わかる! 最初のドラムの音がすでにRAYちゃんなんですよ。
代代代バージョンの『ATMOSPHERE』については?
- 梨央
「変拍子じゃない!」。
- LAKE
確かに(笑)。
- 梨央
あとはキーが低めだったから、私自身は歌いやすかったですね。
- 内山
実はウチの母が、代代代さんの『ATMOSPHERE』のことがめっちゃお気に入りらしくて「RAYの『ATMOSPHERE』を聴こうと思って再生するんだけど、つい代代代のを聴いちゃう」って言ってました(笑)。
- 梨央
えー! うれしい。
- 内山
でも母の言っていることもすごくわかるんですよね。すごく中毒性があるんですよ。
- LAKE
クセになりますよね。しかもライブで観てみたら「そうなるんだ! 音源で聴くのと全然違うけどカッコいい!」ってなって。……というか、それはRAYさんもウチもそうで。この3組の曲ってどれも音源を聴いたときとライブで観たときの印象が全然違うし、今回の曲もそうだから音源とライブの両方で楽しんでもらいたいですね。
そして3曲目、クロスノエシス「ATMOSPHERE」の印象は?
- LAKE
梨央ちゃんの逆というか、初めて聴いたとき「キー、高っ!」ってなりました(笑)。基本的に私たちの曲ってキーはそんなに高くないし、高低差も少ない……1曲の中で音符がそんなに上下することはないから、まずキーの高さにビックリして。あと今までの楽曲にはない神秘的な感じというか。大きな木々が立っている森のなかを漂うようなイメージ。壮大だなって。
- 梨央
マジで私も同じことを思ってて。木がめっちゃ生えてて霧の立ちこめている森の中にクロちゃんたちが立っていて、キレイな声で歌ってます、っていう感じがした。
- 内山
「マジで森」(笑)。
- 梨央
パワーワード、出た!(笑)
実際にクロスノエシス版に〈森〉や〈朝の靄〉というリリックがあるけど、そのとおりの音像になっているってことですか?
- 内山
そういうところも新しかったからクロノスさんの『ATMOSPHERE』も代代代さんの『ATMOSPHERE』も、初めて聴いたときは「うわっ、ズルい!」「どっちもなんかすごいことやってる!」ってビックリしました(笑)。
「ATMOSPHERE」というキーワードが、それぞれのグループのクリエイターに新機軸を打ち出させたり、グループの新たな側面を引き出してくれたりした、と。
- 一同
はい。
- 内山
でもそういう曲だったこともあるし、レコーディングがちょうどメンバー全員コロナに罹ったタイミングとカブったから制作は大変で……。全員「ギリ、療養期間が終わった」って状態だったし、さらに新メンバーはこの曲のレコーディングがRAYの曲としては初めてのレコーディングだったので。だから彼女たちの緊張感や、私たちの鼻水や咳が詰め込まれた音源になってます(笑)。
梨央さんはさっきお話ししていたとおり、レコーディングはスムーズだったんですよね?
- 梨央
そうですね。スケジュールはけっこうカツカツではあったんですけど、レコーディング自体はそんなに時間はかからなかった気がします。
クロスノエシスはさらにすごいスケジュールの中で制作していたんじゃないかと思うんですけど……。
- LAKE
はい。
去年の11月から3カ月連続で新曲を配信リリースして、1月8日にはワンマンライブがあったし、4月にリリースを控えたミニアルバムの制作もあっただろうし。
- LAKE
あらためて振り返ってみると、ホントに地獄ですね(笑)。確か『ATMOSPHERE』のレコーディングはデジタルシングルのレコーディングと並行してやっていて。「なんかもう次から次へと新しい曲が降ってくる」って感じだったから、正直、それぞれの曲のレコーディングの記憶が混在しちゃってるんですけど、「キーが高いからって裏声には逃げずに、はっきり声を出したいな」って思いながらも苦戦した覚えだけはすごくあります。
あとCD版には、それぞれのグループのサウンドクリエイターがそれぞれのグループの楽曲をリミックスしたボーナストラックも収録されています。
- 内山
それがめっちゃうれしくて!
代代代のサウンドプロデューサー・小倉ヲージさんがRAY「バタフライエフェクト」をリミックスしたことが?
- 内山
はい。初めて聴いたときは「やった! 今日から私も代代代だ!」って感動しましたから。でも、その直後には「あれ? 私、このテンポで歌えるの?」ってなっちゃって……。
スリーマンツアーでは、それぞれリミックスバージョンもパフォーマンスしていましたもんね。
- 内山
当然原曲とはアレンジも違うから、一瞬「どうしよう?」ってなって。ただ、ライブ用にメンバーの実詩(紬実詩)が振り付けを作ってくれたんですけど、そのときのみこちがすごく楽しそうで。「代代代さんっぽい振りにしてみた」って言っていたので、ツアーのときは「やっぱり代代代になれた!」ってなってました(笑)。
- 梨央
しっかり代代代になってるし、でもRAYのよさもしっかり残ってるから「小倉さん、スゲー!」ってなるんですよね。
その「代代代らしさ」「RAYらしさ」って言語化できます?
- 梨央
言語化かあ……。難しいな。単純に言っちゃうとRAYは聴きやすくて、代はクセが強いってことなんだけど……。
じゃあ『バタフライエフェクト』の小倉さんリミックスはクセの強いRAYになりました? それとも聴きやすい代代代に?
- 梨央
「かなり聴きやすい代代代」ですね。
クロスノエシス『翼より』はKensei Ogataさんがリミックスしています。
- 内山
RAY以上にシューゲイザーというか、いい意味でわざとらしいくらいシューゲイザーに寄せていたのが、すごく面白かったです。でもLAKEちゃんからはクロノスさんの振り入れ前に「シューゲイザー、ムズすぎない?」って悲鳴が届きました(笑)。
- LAKE
「こうなったかー!」ってビックリして。原曲の『翼より』はゆったりと歌い上げる曲なのに若干速くなってるし、ギターがギャンギャン鳴ってるし(笑)。ある意味、小倉さんリミックスの『バタフライエフェクト』を聴いたときの結愛ちゃんと一緒。「カッコいいんだけど、これどうやって歌うの?」って気持ちになって……。
つい、内山さんに「ムズすぎない?」と連絡を(笑)。
- LAKE
はい(笑)。さっきRAYさんについてお話ししたことと同じことをアドバイスしてもらいました。
- 内山
「ライブ中、モニターから流れてくる爆音のオケに自分の声が埋もれちゃいがちだからよく聴くんだよ」「あとリズムの取り方に気を付けて」って。
- LAKE
それを聞いて「RAYさんってやっぱりすごいなあ」と、あらためて尊敬の念を抱きました(笑)。ただ、当たり前といえば当たり前なんですけど振りが入るとリズムを取りやすくなるから、歌うのが難しいことには変わりはないんだけど、少しだけ曲のことを理解できるようになったかな、って思ってます。
クロスノエシスのサウンドプロデューサー・sayshineさんリミックスの代代代「LASE」については?
- 梨央
「あれ? 梨央ってクロスノエシスやったっけ?」ってなりました(笑)。途中にパン!っていう印象的なキメが入るのがクロちゃんの曲の特徴のひとつだと思うんですけど、sayshineさんの「LASE」にもそれが入っていて。個人的にはホントにクロちゃんっぽいなと思ってます。さっきみたいにたとえるなら「完全にクロスノエシスになった代代代」って感じですね。
- LAKE
聴いている私も、あのキメ……音がパッと止まるところが「あっ、これ知ってる!」「クロスノエシスのだ!」「なんなら自分たちがやりたい」って思いましたもん。
しかも代代代の『LASE』はLAKEさんの推し曲ですもんね。
- LAKE
だからあの曲には私の好きなものしか入ってないんです(笑)。