こんなに努力する子は絶対に受かる
そんな「自由の身」になりたかった香山さんは、もともと、4人がやっていたラジオにもメールを送るようなフィロのスのファンだったんですよね。
- 香山
そうですね。コロナ禍で家にこもる時間が多くなったときに、なんとなく流れてきたアイドルさんの動画で……アイドルオタク人生が始まりました(笑)。
そのアイドルは誰だったんですか?
- 香山
アンジュルムさんです。最初に『タデ食う虫もLike it!』のMVを見たあとにライブ映像を見つけちゃって。「曲だけ聴くのとライブを見るのはこんなに違うんだ」というか、「アイドルのライブってこんなに情熱を感じる、熱が伝わってくるものなんだ」って。そこでアイドルに対するイメージが変わりました。
それからいろんなアイドルさんの動画を見ていく中で、フィロのスが『RAGAZZE!』(NHK)で『ダンス・ファウンダー』を披露した映像を見たんですけど、見た目も声も、4人のバランスがすごくよくて。こんなにひとりひとりのキャラが立っているアイドルがいるんだって、衝撃を受けました。それからラジオも聴くようになり、面白くて明るい人間性にもどんどん惹かれていきました。
そんないち“ファン”だった香山さんが「十束おとは卒業」「オーディション開催」と聞いたとき、やっぱり衝撃だったんじゃ?
- 香山
びっくりしました。ずっと4人でやっていくと思ってたし、卒業するメンバーが出てくるとは思わなかったし。卒業したあとも新メンバーは入れないだろうなと、なんとなく思ってました。
先程「4人のバランスがすごくよくて」とも言ってましたけど、ファンだからこそ、そこに新たに加わろうというのは尻込みしちゃいそうな気がします。
- 香山
いや、受けないという選択肢は自分の中になかったです。フィロのスが大好きだし、オーディションがあるなら、もし書類で落ちたとしても応募しなかったら絶対に悔いが残る。
……これは自分の中で大きなターニングポイントだったと思ってるんですけど。昔、ダンススクールに通っていて、そのスクールのチームで何度かコンテストに出ていたんです。で、小6のときのコンテストで、スカウトというか「アイドルになりませんか」って言われたことがあって。
アイドルになる初めてのチャンスが。
- 香山
そうなんです。でもそのときはまだ、アイドルにそこまで興味を持っていなくて。ちょうど中学受験もあったので「受験があるので、今回はやめておきます」と言ってしまったんですけど、それがずっとモヤモヤしてたんです。ダンスはしてたからステージは好きだし、そのあとにアイドルも好きになったので、あのときなんで断っちゃったんだろうって。
- 木葭
この話、知らなかったです。後悔が一回あって、その気持ちをバネにしての今のななこちゃんなんだ。
- 香山
うん。それが結構心残りだったから、それ以来「絶対に後悔しないように生きよう」って思うようになりました。なので今、大好きなアイドルグループの一員になれたことで、その後悔を昇華できてよかったです。
「地元を離れたタイミングで」、「アイドルが好きになったタイミングで」。おふたりともいいタイミングでオーディションがあったわけですね。ちなみに、オーディション中のお互いの印象は?
- 香山
オーディション参加者は控室にいる時間が多かったんですけど、みんながメイクを直したり、ストレッチしたりするなかで、ののちゃんは振り付けの動画を見ながら、ずっと練習してて。本っっっ当にずっとだったんですよ。
- 木葭
すごい力込めた(笑)。
- 香山
本当にいつ見ても踊ってて。こんなに努力する子は絶対に受かる。受かってほしいなって思ってました。
- 木葭
私は努力をいっぱいするぞって意気込んでるわけじゃなくて、不安な気持ちが大きかったから。だからみんながリラックスしてるときもひとりで「あぁ〜どうしよう、どうしよう」ってやってただけで(笑)。でも、それが今につながってるのかなって思います。
逆に、木葭さんから見た香山さんは?
- 木葭
オーディション中は……ななこちゃんとあんまり関わりがなくて(苦笑)。ごめんね、周りを見る余裕があんまりなかったし……。
- 香山
うんうん。ダンス審査とかのグループも全部別だったからね。待機室の席もいつも遠かったし。
- 木葭
だからオーディション参加者みんなの話になっちゃうんですけど、私はオーディションの中で、グループで披露した三次審査の『ライブ・ライフ』が一番印象的で。それまでずっと緊張してたんですが、同じ夢を持ったみんなと一緒に頑張ったことで、オーディションをすごく楽しめるようになったんです。
フィロソフィーのダンスの4人が本当にあったかくて、いい人たちだから、「類は友を呼ぶ」じゃないですけど、同じ思考を持った人が集まるんだなって感じました。