「可愛いな」と思ってずっと黙ってとなりに立っていました
最初のトークテーマは「すべてのはじまり『あのヲタ』との出会い」です。田辺先生、「あのヲタ」の着想はどこから?
- 田辺
週プレでAKBの連載をしていてライブ現場によく行く中で、「アイドルオタクのイメージがよくないな」と感じていて。今は『推し武道(推しが武道館いってくれたら死ぬ)』とか『推しの子』とかのマンガが注目されてアイドルオタクへの理解が深まっているけれど、当時は悪い書かれ方をすることも多くて。「そんなことはないし、楽しいから」と、それを伝えられる作品を描けたらと思っていた。それが、2014年7月1日。
日付まで覚えているんですね。
- 田辺
その日に、ディアステージに取材に行ったのが始まり。それで、何度か行っているうちに、「心が折れる」「サイリウムを折る」というアイデアを思いついて。「これを使って物語を作りたい」と思ったのが最初です。
そのくらいの時期に、僕と田辺さんとふたりで飲んで。その時に聞いたタイトル名は『光れ!僕らのサイリウム』でした。その時からオタクの青春を描きたいと、「夢を語る男」みたいな目をしていましたね。篠崎さんは「あのヲタ」をいつ知りましたか?
- 篠崎
プティパ(篠崎さんが結成したアイドルグループ。2013〜2016年に活動)をやっていた時のマネージャーさんから、どうやら私をモデルに描かれたヒロインのマンガがあるらしいというのを聞いて。ルミノちゃんのイラストを見たら、「あれ? このメイド服、私があの時に着ていたのと一緒だな」「この衣装、あの時の写真と同じだ」というのが結構あって。本当に私のことを参考にしてくださっているんだなと思いました。5、6年前だと思います。
実際そういう感じで参考にしていたんですか?
- 田辺
そうですね。『ジャンプ+』掲載が2018年4月。その時、ヒロインを描く時の参考にいろいろな角度から見られる3Dモデルがほしくて、篠崎さんのDVDを買って。メイド服姿を見ながら、「これちょうどいいな」「可愛いなあ」と思ったので(笑)。
3Dモデルを参考にしたいなら篠崎さんのDVDじゃなくてもよかったのでは?
- 田辺
それは、あの……。
どこらへんにビビッときたんですか?
- 田辺
それが、去年のコミケで篠崎さんに「初めまして」のご挨拶をしたと思いますが。
- 篠崎
はい。
- 田辺
実はそうじゃなくて。2015年1月に知り合いの会社の立ち上げイベントに行った時にアイドルも出演するからっていうので招待されて。アイドルも出ていたけれど、一番可愛いと思ったのが、DJギズモ(篠崎さんのDJ名義)だった。で、DJが終わった後は客席側に来てステージを見ていたから、「可愛いな」と思って、「声をかけたらアレかな」と思ってずっと黙って隣りに立っていたんです。
(客席から「こっわ」「やべー」のドン引き声)
- 篠崎
そのイベント……。どんなイベントでしたっけ?
- 田辺
ちゃんと当時のツイートもあります!
- 篠崎
田辺先生の狂気が垣間見えました。一見、シュッとされているけれどやっぱり中身はめちゃめちゃオタクで狂気じみている(笑)。
- 田辺
イベントで、「あの子可愛いかったな」がずっとあって、プティパのライブも行ってたし、最後のステージとなった2016年の@JAMにも行きました。
要するに自分の推しをヒロインにしたという話ですか?
- 田辺
そうそう。本当はホクロも足そうとしたけどそこはやめました。
ちなみに、ルミノちゃんの名前はどこからとったんですか?
- 田辺
物語の中で光る存在。それこそ、ルミカライトやルミネとか「光る」という意味からとりました。
そういう意味では、自分の推しをヒロインにして漫画を描いて、そのヒロインを連れてきてトークイベントをやって、ルミカさんに協賛してもらうという、今日、夢が全部叶ったといえますね。
(会場拍手)
- 田辺
ありがとうございます! すごい集大成(笑)。あと、さっき会場入口に週プレから(開催祝いの)お花が届いていて。田辺洋一郎と篠崎こころが連名で書かれていて「これ結婚かな?」と思いました。
- 篠崎
イヤですよ! 何でですか、イヤですよ。ここでちょっと言わせていただきます。イヤです! 申し訳ないですけど(笑)。(全力否定しながらも)でも、嬉しいです。あとで一緒にふたりで写真とりましょうね。
- 田辺
やったー!
- 篠崎
楽屋で「ファンの方に嫌われないか心配で」って言ってたのに、自分から突っ込んで話してきますね(笑)。
田辺先生はヲタやファンの人に出しゃばっている感じに思われたくないことだけに命をかけているけれど、いざという時に欲望が出ちゃうんですよね(笑)。