無双の理由③ 強い責任感と戦略性
彼女は「本来の自分はぐいぐい前に出て引っ張っていくタイプではない」としばしば明かしている。2020年、BILLIE IDLE ®の解散が決定したときのインタビューから。
(2020年12月掲載 週刊少年チャンピオンインタビュー)
それでもBILLIE IDLE ®としての活動やタレント活動で共通していたのは、「やるからには売れなければ」という責任感の強さが根底で一貫していたためだろう。BiS第1期の解散インタビュー(Billboard JAPAN2014年7月14日掲載)で彼女は「BiS解散後、誰かひとりだけガツン!と売れたりするのかな?」との質問に「そうならないとダメなんです!」と答えていた。
(2020年12月掲載 週刊少年チャンピオンインタビュー)
セルフプロデュースのセンスに加えて、素は控えめな性格でも売れるためになんでもやってみせる責任感と、そのために自分がどうすればいいかを見極める戦略性。そして導き出した戦略を実現させる、どんなキャラクターにもなりきる演技力。これら全ての能力を高いレベルで持ち合わせている。他のタレントにはなかなか見られない稀有な存在だ。
“元アイドル”のタレントが毎年たくさん供給される芸能界で、これら一つでも欠けていたら、彼女がここまでブレイクするのは難しかったのではないだろうか。もちろん舞台役者からアイドル、シンガー、バラエティタレントと売れる場所を探し続けてきた異例のバイタリティも特筆すべきだろう。
(2020年12月掲載 週刊少年チャンピオンインタビュー)
どんな局面でも手を抜かず全力でやり抜く。それも、がむしゃらや愚直ではなく、売れていくための戦略に基づいてその通りに結果を残す。当たり前のようで簡単にできることではないが、BiS・BILLIE IDLE®・テレビ・ラジオ・音楽……その姿勢をどこでも一貫してきたからこそ視聴者も共演者も彼女に一目置いているのだろう
「今の彼女の活躍は、令和の時代にうまくハマっただけ」という意見もあるだろう。しかし、これだけ全てを俯瞰に見れて、視聴者のニーズを体現できるファーストサマーウイカなら、時代が移り変わったとしてもブレイクし続けていくのではないだろうか。
Open the Door
取材・文/大宮高史 イラスト/川崎タカオ