振付師や衣装スタイリスト、楽曲制作者など、表舞台には立たず影からアイドルを支えるクリエイターたち。本コラムでは、そんな裏方の方々に焦点を当て、自身の印象的な仕事や、そこに眠る想いを通じて、アイドルに対する熱意に迫っていく。
今回登場するのは、わーすた、Luce Twinkle Wink☆など、数多くのグループの衣装を制作してきた衣装スタイリスト・たけうちはるか。彼女はどんな想いのもと、アイドルたちを支えているのか――。
衣装は“アイドルの見栄えを変えるもの”
まず、たけうちさんが“衣装制作”に出会うまでの経緯を聞かせてください。
- たけうち
私が通っていた文化服装学院では、ガールズバンド・SILENT SIRENとコラボして、学生がメンバーの衣装を制作するプロジェクトがあったんです。そこに参加したことが、私が衣装制作を始めるきっかけでした。
その後、当時avexさんが行なっていた、東京五輪の年に向けて世界に通ずるエンタメ女子を創出する「GirlsStreet 2020」というプロジェクトの、クリエイター部門に応募して。2015年の合格後に、ストリート生(当時存在した、avexのアイドルレーベル「iDOL Street」の候補生)の衣装を作らせていただいて、この仕事をひとりでやっていこうと決めました。
以降、わーすたをはじめ、さまざまなグループの衣装を制作させていただいてます。
アイドルは昔から好きだったんですか?
- たけうち
実は学生時代、AKB48さんやSUPER☆GiRLSさん、Luce Twinkle Wink☆さんの現場に通うファンだったんです(笑)。もちろん今の仕事を始めてからは、絶対にファンとして現場に行かないように決めてるんですけど、当時は学校の先輩と一緒になって毎週のように、特にLuceさんの定期公演に通っていましたね。
Luce Twinkle Wink☆は今、たけうちさんが手がけた衣装を着用されていますよね? 元々好きだったグループの衣装を手がけるって、すごく夢を感じるエピソードです。でも、裏方としてしっかりとした線引きをされているんですね。
- たけうち
ほかのファンにもアイドルご本人にもよくないと思っているので、それだけは固く決めています。でも、そうして元々アイドルが好きだったことで、当時から「かわいい衣装を着ている推しはものすごくかわいい」「衣装は“アイドルの見栄えを変えるもの”」という想いは常に持っていると思います。
なるほど。元アイドルファンとしての目線や価値観も、手がける衣装に表れていそうですね。
- たけうち
かもしれないです。メンバー全員お揃いの衣装だとなかなかできないんですけど、それぞれ個性がある衣装のときは、髪飾りをたくさん作って、バリエーションが出るようにすることもあります。アイドルの場合はやっぱりライブの数が多いので。髪飾りが違うだけでも、ファンもご本人も、ライブごとに面白さを感じてもらえるかなって。
Twitterで「たけうちさんの衣装です!」と喜んでいるアイドルをよく見かけますが、その小さなひと工夫がメンバーにも届いているんですね。