山下剛一と山末あつみが選ぶ2025年のアイドルソング
PROFILE
山下剛一
アイドルグラビア/写真集編集者。ガラスガールでは、インタビューや『寺田寛明の2万6千500歩』を担当。
山下剛一が選んだのは……なみだ色の消しごむ『A・S・B』
今年の夏フェスシーズンにアンセム的にリリースされた曲ですが、まさか令和の正統派グループがやらんだろうというベッタベタのユーロビート!!
キラキラきゅるるん主導の昨今のアイドルシーンが忘れていた野蛮さを甦らせてくれた感があって素晴らしい。歌い出しはグループの歌唱メンの高松さんで、曲にマッチした実に“蓮っ葉な”(死語)節回しで最高です。クラスの一番可愛い子が3年の先輩の単車の後ろに乗ってるのを見てしまったあの夏を思い出します。今後『頭文字D』のサントラが発売されることがあったら収録されて欲しい。
PROFILE
山末あつみ
女性アイドルの魅力を伝える雑誌『VDC Magazine』の制作・編集をメインに、他メディアでもインタビューを担当。アイドルと編み物が好き。今年の冬はマフラー3本、ニット帽2つを編みました。
山末あつみが選んだのは……lyrical school『朝の光』
2025年に15周年を迎えたlyrical school(通称:リリスク)。2010年の結成以降、体制の変化とともに歩んできた中で、それぞれの体制を象徴するような名曲の数々を生み出してきた。
“朝の光”というモチーフは、聴き手がどんな人生を生きてきたかによって、イメージや印象が大きく異なる。甘酸っぱい記憶として受け取る人もいれば、大人になった証、永遠に続いてほしいもの、あるいは苦くてもう味わいたくないものとして感じる人もいる。そんな抽象的でありながら普遍的な感情の機微を、楽曲で表現しているところが素晴らしい。
そして、8人それぞれの個性が織りなすオムニバス映画のようでもある。だからこそ、誰かのバースの一節がふと心に引っかかり、ふいに共感を覚える瞬間があるのだろう。一方で、楽曲は聴き手に過度に寄り添いすぎることはなく、どこか一定の距離感を保っている。この距離感が絶妙で心地いい。
子どもと大人、友達と好きな人、夜の終わりと朝の光――たしかだけれどふたしかな、曖昧な境界線上にある感情や記憶を、この楽曲は静かにすくい上げている。
「この人だからこそ歌う意味がある」、「この人が歌うから説得力が生まれる」と評される楽曲は、どんな時代やジャンルにも存在する。『朝の光』はまさにその一曲であり、多彩な魅力が溢れる8人のリリスクだからこそ生まれた名曲だ。
