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【マンスリーアイドルコラム No.027・初週のみ無料公開】Jams Collection 保科凜 #1「一人反省会」(5月火曜担当・全4回)

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ガラスガールNEXTでお送りする、毎月さまざまなアイドルが登場しフリーダムに執筆する「マンスリーアイドルコラム」。

5月の火曜日を担当するのは、「Jams Collection」の保科凜。

5月6日、13日、20日、27日……と、4週にわたって公開される彼女のコラム。初回は彼女がいつもこころでやっていることについて。

ちなみに、火曜・金曜それぞれ1週目はガラスガールNEXTに入っていない読者も閲覧可能! ぜひ、ガラスガールNEXTへご加入を!

このギャップに、私はこれからもきっと悩むだろう

はじめまして、Jams Collectionのエメラルドグリーン担当、保科凜です。
普段はステージ上でアイドルとして活動していますが、今回は少し違った一面をお見せできればと思い、ガラスガールさんからいただいたお話をきっかけにコラムに挑戦してみることにしました。

コラムについて、正直なところ最初はどう進めていけばいいのかイメージが湧かなかったのですが、これを機に、自分の中にある思いや考え、経験からの気づきなどと向き合うことを通して、普段の活動では見せない内側の部分をお見せする場にしていけたらと思っています。

全4回、どうぞよろしくお願いします!

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「妄想することはある?」

コラムについての打ち合わせで投げかけられたひと言。
いきなり攻めた質問だなと思った。でも話していくうちに、それは意外と自分の“ルーツ”に近い問いなのかもしれない、と気づいた。だから今回は、「妄想」について書いてみようと思う。

「妄想」。


この言葉から、以前の私はピンクや薄紫といった可愛らしいパステルカラーを思い浮かべていた。
少女漫画を読みふけっていた私にとって、妄想とは“こうなったらいいな”“こんなふうになりたい”といった、ハッピーでポジティブな夢のようなものだった。
今でも、くだらない妄想にふけったまま朝を迎えることだってある。

だけど今回、「妄想」と聞いたとき最初に浮かんだのは、そういう綺麗な色ではなかった。おどろおどろしい色でもない。ただ、薄暗い部屋にあるような、自然で陰のある色だった。

気づけば私にとっての妄想は、“未来に対する願望”ではなく、“過去に対する反省”に変わっていた。

過去の妄想。
確定している出来事に対して想像を膨らませるなんて、空虚といえば空虚かもしれない。
けれど私は、日々こんなことを考えている。

「あの瞬間、もしこう言ってたらどうなってただろう」
「もっと上手く伝えられたんじゃないかな」
「次は、ああいう言い方をしてみよう」

今回、私はこれを『一人反省会』と名付ける。

お風呂や布団でぼーっとしている時、不意に思い出されるやりとり。
あの時、自分はこう言った。他意はなかったけれど、相手には別の意味で伝わってしまったかもしれない。もっといい言い回しがあったかもしれない。
もしそうしていたら、相手は違う反応をして、その後の会話も変わっていたかもしれない。

そんなふうに頭の中で過去を何度もなぞっては、次に活かそうとする。
(……そう思っても、うまくいくかはまた別の話なのだけれど)

ときには、悔しさがにじむような場面もある。


「こう返せばよかった」
「こういう受け答えをしていたら、今こんなふうに悩まずにすんだのかも」

妄想は過去にしか向いていない。けれど、それは私にとって「後悔」ではなく、「反省」として存在している。

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いつから、こんなふうに考えるようになったのだろう。

思い返してみると、小学5年生の頃にたどり着く。

あのとき、私はいじめにあった。
ドラマのような壮絶さはなかったけれど、女の子特有の、静かでルーティン化された仲間はずれや無視。
そのきっかけになった瞬間を、私は今でも鮮明に覚えている。

授業中に、1人の子からちょっとした注意のような、軽い弄りのような言葉をかけられた。
私は、よくあるノリで「〇〇もじゃーん!」と返した。

そのとき、不思議な胸騒ぎがした。
「今の、ちょっとまずかったかもしれない」
自分の中に浮かんだその予感は、当たっていた。

それから私は、急に無視されるようになった。言葉のトゲ、態度の冷たさ。
あの瞬間から、私の「一人反省会」は始まったのだと思う。

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たったひと言が、人間関係を歪ませる。
言葉のもつ力を、私はそこで痛いほど知った。

それ以来、私は人の反応に過敏になった。
「今の言い方、大丈夫だったかな」
「別の言葉を選んだほうがよかったんじゃないか」
会話のあと、頭の中で何度もリプレイして、別のシナリオを組み立てるようになった。

それはただの妄想。でも、その妄想は私を少しずつ変えていった。

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今になってようやく、気づいたことがある。
私は、一人反省会を繰り返すたびに、少しずつ自分の世界を広げてきたのかもしれない。

これまで私は、自分だけの視点でしか世界を見てこなかった。
でも過去を見つめ直すことで、相手の気持ちや立場、伝え方の工夫に少しずつ意識が向いてきた。
まるで木の年輪のように、ゆっくりと、自分の内側に層を重ねていくように。

ただ、その一方で、気になることもある。

一人反省会を重ねれば重ねるほど、「こう言えば正解っぽいな」という答えが、テンプレートのように浮かんでくるようになった。

「傷つけないように」
「誤解されないように」
「無難に、丁寧に、正しく」

言葉選びは、少しずつ“真人間っぽく”整えられていった。
でもその裏で、本来の私はもっと幼稚で、わがままで、感情的で――本音とはちょっとずれている。

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このギャップに、私はこれからもきっと悩むだろう。
そのたびに、また一人反省会をして、過去の自分と答え合わせをしていく。

そして、このコラムが世に出た夜もきっとまた、
私は自分の言葉について、静かに考えている気がする。

そのとき頭に浮かぶのは、やっぱりあの薄暗い部屋に差し込むような自然な色――
華やかではないけれど、静かにそこに在り続ける、私だけの“妄想の色”だ。

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PROFILE

保科凜(Jams Collection)

ほしなりん

3月9日生まれ、東京都出身。担当カラーはエメラルドグリーン。趣味はアニメ鑑賞(キングダムと転生するやつ)磯遊び 初心に帰ること 雑学を蓄えること
5月17日、日比谷野外音楽堂。5月24日にZepp なんばにて4周年記念ライブが開催!

オフィシャルホームページ

https://jamscollection.jp/#/

文・写真/保科 凜(Jams Collection)