今度は自分が踏み出して、健やかな状態になろう

卒業の決め方として非常に悔しい形だと思うんですが……でも、渡辺さんの糸が切れてしまったことによって、かすみ草とステラというグループは「生徒会長・渡辺萌菜」がいない状態でも機能するように形を変えていくわけですよね?
- 渡辺
そうですね。すごく“上から”みたいになっちゃうんですけど、安心しました。復帰してからも、「動けない人」になった自分が楽屋にいるとグループ全体が不安定になっちゃうから、別の場所にいるようにしていたんですけど。メンバーみんなで話し合って、どんどん役割の分担ができるようになっていって。
たとえば、自分の代わりに誰かが生徒会長になったとしても、「これまでのままだったら、その子も私と同じことになってしまうかもしれない」と思ってたんです。でも、結果としてみんなで分担するグループになったのは……すごく嬉しかったですね。

もどかしい話ではあるんですが、それって渡辺さんが言うところの「みんながいろいろ動けるグループ」じゃないですか。となれば、「卒業」を選ばなくてもいいのではと思ったんですが……。
- 渡辺
複雑なんですけど、昨年4月に一度、喉の治療のために入院したときに、「プツッと切れた自分を元に戻すのは、こういうお仕事をしているかぎりは環境を変えないと難しい」と言われてしまったんですよね。
でもやっぱり、メンバーみんなが安心させてくれたのはすごく大きな決め手になりました。ステージ中も、声が出なくなった私に「やばかったら抜けても大丈夫だよ。任せて」って声をかけてくれたり、裏で背中をさすってくれたり、水を持って走ってきてくれたり。そうしてメンバーに助けてもらう中で、「大丈夫だな」「今度は自分が踏み出して、健やかな状態になろう」と、卒業を決断したんです。
なるほど……。

- 渡辺
そうと決めてしまえば切り替えも早く、すぐ次のことを考えようってなっちゃうタイプなので(苦笑)。会社の引き継ぎじゃないですけど、夏フェスの時期をどう乗り越えるのかみたいな話を2期生としたり、わがままかもしれないけど、「アイドルとして自分がやりたかったこと」を書き出して、それを叶えていただいたりして。それがグラビアや、B.L.T.webさんの連載だったんですけど。
約1年前に卒業を決めていて、その間に活動の幅を広げていたので少し不思議に思っていたんですが、この1年は「やりたかったことをやり尽くす日々」だったんですね。
- 渡辺
そうですね。明日の卒業式も、最後にやり尽くすぞって気持ちでいっぱいなんです。
