INTERVIEW

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卒業前夜の渡辺萌菜が語る“次の道”を決めてからの1年間「アイドルにはキラキラできる瞬間があるのを知っているから。マイナスな感情なんて抱けなかったです」

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これからの自分がグループの力になる方法

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卒業について、順を追って聞かせてください。まず、卒業の意思をスタッフに伝えたのは昨年(2024年)2月のことだったと聞きました。

  • 渡辺

    そうですね。もう1年前になるんですけど、昨年の頭くらいに……急にプツッて切れちゃったんですよ。

切れた?

  • 渡辺

    自分が自分という操り人形を動かしているとして、その人形の糸がプツッと切れちゃった感じで。自分の脳が指令をどう送っても、身体が動かなかったり、まず声が出なくなったり。どれだけ準備してライブに臨んでも、ステージに立つと何かしら忘れちゃったり……。傍からみたら「この人、サボってるな」と思われちゃうくらい何もできなくなっちゃったんです。

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深刻な状態が突然来た、と……。たしかに昨年、体調不良で休むライブが徐々に増えていきました。

  • 渡辺

    それまでの自分はどちらかというと、メンバーがどれだけ体調を崩したとしても、自分だけすごく元気だなってなるくらい、何でも平気なタイプだったんですけど(笑)。「蓄積量が限度を超えると花粉症になる」じゃないですけど、ある日突然そのリミッターが来てしまって。本当に……あるライブの出番の直前だったんですけど。

その日のことは覚えていますか?

  • 渡辺

    はい。グループの“生徒会長”として日々、「MCの内容を決めよう」とか、「今日お休みになったメンバーの分の歌割りを決めよう」、「告知しなきゃいけないことはなんだっけ?」みたいな準備をやっていたんですけど、その日、ふと冷静に「この整理、私が『やろう』って言わなかったらどうなるんだろう?」って考えちゃったんです。

    私はわりと誰かに「これをお願いね」って割り振るよりも、自分が気づいたことを自分でやっちゃうタイプだから。「私は今までの振る舞いのせいで自分の役割を大きくしすぎて、みんながいろいろ動けるようにしてこなかったんだ」と思ったら、さっき言った、脳と身体が繋がらない感覚になってしまって。

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「率先して動いてくれる存在」はどんな集団でもありがたいはずですが、渡辺さんの中で「自分が大部分を占めすぎて、グループの成長を止めているんじゃないか」という気持ちになった、と。

  • 渡辺

    そうですね……。それで身体が動かなくなって、声が出なくなって。スタッフさんのアドバイスで一旦休む選択肢を取ったんですけど……今まで、グループに対して自分ができる一番のことって、「グループの雰囲気を作ること」だと思ってたんですよ。

外から見ていても、勝手ながらそれはよく感じます。

  • 渡辺

    だけど、あらためて自分と向き合ったときに、「こうなった私はグループの雰囲気なんか作れないし、メンバーやスタッフさんに助けてもらわないとライブすらままならない」と思ったんです。……であれば、これからの自分がグループの力になる方法って、次の道に進むことなんじゃないかって。そう思って、卒業の話をし始めました。

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