山下剛一と山末あつみが選ぶ2024年のアイドルソング
PROFILE
山下剛一
アイドルグラビア/写真集編集者。ガラスガールでは、インタビューや『寺田寛明の2万6千500歩』を担当。
山下剛一が選んだのは……MEWCATUNE『会おうよー!』
新潟をベースに活動するグループの10月にリリースされた4曲入りミニアルバムのリードトラック。作編曲をフィロソフィーのダンスへの楽曲提供で名高い宮野弦士が、作詞を電影と少年CQメンバーで最近はソロでの活躍も目覚ましいゆっきゅんが担当。これがもう、楽曲派オタク殺しの極みというか、コーネリアスの『太陽は僕の敵』あたりを彷彿とさせる疾走感に満ちた超絶完成度のド真ん中渋谷系チューン! 日本中の楽曲派オタクの方々は必ず聴いて頂きたい!! 必ずだ!!!
このミニアルバム、というかMEWCATUNEのこれまでの曲も、王道的可愛さと楽曲派的洗練を両立させつつ、さらにかなりエキセントリックな曲もあって圧倒的幅の広さとクオリティ。元々cana÷bis等を手掛けていたmusic trace inc.の所属ですが、cana÷bisというより元メンバーのごいちーのソロに通じる音楽性といえる。それを若干いにしえのロコドル感のある素朴なメンバーが元気一杯で歌い踊る姿は全オタクに忘れていた何かを思い出す感動を与えます。北海道のタイトル未定がFNS音楽祭出演で旋風を巻き起こす中、himawari(船橋)あたりと共に令和の世にロコドルルネッサンスを引き起こすかも?
山末あつみが選んだのは……二丁目の魁カミングアウト『あの頃、僕ら若すぎた青春』
「ゲイでもアイドルになれる」をコンセプトに活動する二丁目の魁カミングアウトが結成13年目にしてリリースした1stシングル。
胸に突き刺さるぐらい最高な楽曲に出会うと、そこで歌われていることすべてが自分の物語のように感じることがある。『あの頃、僕ら若すぎた青春』を聴いた時、そんな気持ちになった。それ以来、ライブでこの曲を聞くたびに号泣している……。
彼らの歌詞はすべて、プロデューサー兼リーダーのミキティー本物が手掛けているのだが、とにかく素晴らしい! この曲では、現在を生きる自分が、過去の自分を振り返り寄り添い、そして未来の自分を想像し、背中を押し生きようとする姿が描かれている。この過去、現在、未来を繋いでいるのが、“青春”だ。その3つの年代をみつめる視点があるからこそ、聴き手の年齢関係なく共感したり励まされたり、感じるものが必ずある。若者が若者の青春を歌う、それはそれで素晴らしいけれど、青春は若者だけのものではない。いくつになっても、それぞれの青春があるんだと教えてくれた。
そして、1stシングルにこの曲を選ぶセンス……! この13年間、自分たちの音楽をブレずに貫いている二丁目の魁カミングアウトってなんて美しいんだと、あらためて痛感し、また涙……。
もう本当に、マジでいい曲だから、全人類に聴いてほしい!!
ということで、2024年ベストオブぶっ刺さりNo.1ソングだった『あの頃、僕ら若すぎた青春』を私のアイドル最強楽曲に選ばせていただきました。