R-1グランプリの常連で、若手ピン芸人の代表格! そしてもはや、ライブアイドルシーンを最も広範囲かつディープに見ている著名人と言っていい存在の寺田寛明。今一番アイドルを語れる男が、シーン最先端をオフビートかつリアルに語る連載。今回は2024年のライブアイドルシーンに対する雑感と2025年に向けてのごく個人的かもしれない希望と提言を!
冬の夜に判断しても前向きな答えは出てこない!
さて今年もいろいろあったライブアイドル界ですが、11月19日の夜に次々に近い界隈のアイドルの卒業やそれに類するものが発表されたときに、寺田さんが心の叫び的にXで呟かれた言葉が「もっとあったかくなってから色々決めませんか?」「全員ちゃんとご飯食べてあったかくして毎日9時間寝てください」でした。まさかそれが寺田さんプレゼンツのイベントのタイトル(※『あったかくして寝ろ』)になるとは(笑)!!
※ 『あったかくして寝ろ』は、2024年12月11日に行われた寺田氏プレゼンツのセレクレットライブ。
- 寺田
普通にいつも思ってることなんですけどね。自分、冬ってずっと体調悪いんですよ。寒くなるとダメで。本当にR-1冬にやらないで欲しい! アイドルの卒業も、3月とかなら分かるんですよ。年度末だし学校も始まるし。でも寒い時期に多いのは、単にメンタルがやられてるだけじゃないか。こんな時期に判断しても、前向きな答えが出てくるはずがない! 室井ゆうさん(“グデイ”メンバー。“ねおち”プロデューサー)が、体調を悪くして、この前まで1ヶ月間休んでたんですけど、スケジュールをめちゃめちゃ詰め込んで睡眠時間を削って働いてたので、多分それが原因なんですよ。だから人間、ちゃんとご飯食べて、あったかくしてお風呂入って寝ろ、と。ショートスリーパーなんてものはないんです。俺は毎日10時間寝たい!
メッセージ性を感じる素晴らしいタイトルだと思います。年末ということで楽曲大賞的なものは発表されてますが、それ以外の部分で2024年のライブアイドル界に対して思う、雑感的なものがあったらお願いします。
- 寺田
この前、東京アイドル劇場を見に行ったんですよ。
長い歴史を誇る、マニアックな対バンシリーズですね。若い子が多い!
- 寺田
持ち時間1人15分で。そこですごい印象的だったのが……。地方から来てる10代のソロのアイドルの子が出てて、持ち歌がないからカバー曲をやりますって言って、やったのがHoneyWorksの、高嶺のなでしこがやってる『誇り高きアイドル』と『ファンサ』、そしてiLIFE!の『アイドルライフスターターパック』という!
なるほど(笑)。
- 寺田
つまり全部メタ楽曲! アイドルがアイドルについての、またはオタ活についての歌を歌うという……。なんか最近メタ楽曲が多すぎて! 地方の10代の子がこの3曲を選ぶってことは、もうそういう曲しか伝わってないんだろうなっていう。
iLIFE!の成功が1番大きいんでしょうね。今年の関ヶ原とかで、全然知らないグループ見てても、メタアイドル曲はすっごい増えた印象でした。=LOVEまで『絶対アイドル辞めないで』という。
- 寺田
流行ってるんだから需要はあるんでしょうけど、自分は正直……。あんまり好きではないんですよね〜。お笑いだと、漫才師が漫才自体をイジるネタをやると、メタだって言われて評価されないんですよ。メタ曲を聴いてると、「今さらそんな話するなよ〜」っていうか、恥ずかしいというか、自分はちょっと冷めちゃうんですよ。シリアスな曲調のやつだと、本当にアイドルが夜中にツイートする愚痴みたいな内容で、それをリズムに乗せる意味があるのか? わざわざ歌にする必要があるのか!? アゲアゲ系のやつだと、アンスリュームの最近の曲で『疑似恋愛させたげるっ!』っていうのがあるんですけど、“課金・絆・疑似恋愛!”て繰り返すパートがあって……。
それはすごい(笑)!
- 寺田
これに関しては嫌とかじゃなくて、みんなどういう気持ちで聴いてるんだろうと不思議な気持ちになりました。
そこまで行くともう、あからさま過ぎて一周回って面白がれる気が(笑)。
- 寺田
まあそうかもしれない……。自分が苦手ってだけの話かもしれないんですが、本当に最近多すぎるので、メタ楽曲はこれ以上増えないで欲しい! 個人的な要望です!
アイドルはアイドル活動しかやってないし、オタクはオタ活しかやってないので、共通して感情移入できる1番手っ取り早いテーマなんでしょうね。歌詞のテーマが狭まり過ぎてるという点では、客観的に見ても憂慮すべき状況なのかも知れないです。