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週に1回はSNSに流れてくる。メンタル? 人間関係? なぜアイドルは「休業」するのか?

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少なくとも週に1本はYahoo!ニュースの見出しで見かけるのが、アイドルの休業ネタである。「○○○○(グループ名)の△△△△(個人名)が体調不良のため休業へ」というニュースをあなたも一度は見かけたことがあるはずだ。

休業にはいくつかパターンがある。「学業に専念」や「留学」「怪我」の場合もあるが、それらを除いてほとんどの例が「体調不良」と発表されている。

一言で「体調不良」と書かれても、具体的に何がどうなって「体調」が「不良」になったのか、ファンには何のことかよくわからないことが多いはず。そこで、本稿はその「体調不良」はどういった症状なのか、また、なぜその症状が起きるのか、について迫っていく。

数多くのアイドルがその病気を公表している

多くの場合、「体調不良」の具体的な症例は明かされない。ただし、ここ10年ほどだろうか、診断された病名を公表するケースもある。

例えば、櫻坂46の小池美波は「パニック障害」と公表している。昨年12月11日のブログで、長文にわたって病名を公表するに至る決意などを綴っている。

有名人でも同じ症状を患っている(あるいは過去に患っていた)者がおり、星野源、Dragon AshのKj、IKKO、中川家の兄・剛、キックボクサーの武尊、KinKi Kidsの堂本剛、元King&Princeの岩橋玄樹、安西ひろこ、大場久美子らがカミングアウトしている。元プロ野球選手の長嶋一茂は『乗るのが怖いー私のパニック障害克服法―』という著書を出版している。新幹線や飛行機での移動に極度の不安を抱えていた、という経験からつけられたタイトルである。

アイドル界では、アンジュルムの元メンバー・相川茉穂、室田瑞希、元仮面女子の早瀬愛夢もパニック障害と公表している。

今年6月、AKB48からマレーシア・クアラルンプールのKLP48に移籍した山根涼羽は、「双極性障害」と診断され、noteで公表した。「無理なダイエットを始めてから、段々、情緒の乱れが酷くなり、その時に自分の中で限界ということに気づき母に休養したいという話をしました」と明かしている。双極性障害とは鬱病とは違い、躁状態と鬱状態を反復する精神疾患のことだ。

この双極性障害は、韓流スターのチャン・グンソク、元Little Glee Monsterの芹奈も公表している。アイドル界では、元HKT48の兒玉遥、仮面女子の猪狩ともかも同様の症状に悩まされていた。

公表していないだけで、「おそらくそうだろうな」と感じられる女性アイドルを取材したこともある。そのアイドルの両目は血走っており、テンション高く理想像を語り、他人に対して攻撃的な言葉を放っていた。

元乃木坂46の中元日芽香は、自身の著書『ありがとう、私~乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで~』の中で、アイドル時代、「適応障害」で休業していたことを明かしている。適応障害とは、ストレスが原因で、その環境に上手く馴染めず、精神的、あるいは肉体的な症状が起こる病気のこと。その環境になければ通常の社会生活を送ることができるため、その点で鬱病とは違うと分類されている。

元つばきファクトリーの岸本ゆめの、元SUPER☆GiRLSの石橋蛍、元NMB48の西村愛華も適応障害だと公表したことがある。

名前を挙げていないだけで、「活動休止」するアイドルは後を絶たず、とある人気グループは結成以来20人以上のメンバーが一時的な「活動休止」をしている。これだけのアイドルが何らかの精神的な疾患で休業を余儀なくされていることを放っておくことはできないし、人前に立つ者が患いやすい症状と言わざるを得ない(そうでない者も多くが罹患するが)。

2019年、NHKの『クローズアップ現代』で興味深い特集があった。タイトルは「睡眠不足にストレス 突然おそうパニック障害」。同番組によれば、「100人に1人が罹患する身近な病気」で、「受診者は15年で9倍に増加」しているという。中川家・剛がスタジオに登場し、自身の症状を明かしたのだが、彼は発作が起き、突然息ができなくなったという。長嶋一茂と同様、怖くて電車に乗れなかったそうで、「外に出れないのが不安」というのがその理由だ。30分で到着する大阪―京都間を、「乗っては降りて」を繰り返し、4~5時間かけて移動していたそうだ。

100人に1人が罹患する病気だから、99人は何のことかさっぱり理解できないだろう、この病いの苦しみを。