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新居歩美コラム「あゆちのあたまの中」vol.6★東京は乙女

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こんにちは! ドラマチックレコードの赤色担当、あゆちこと新居歩美です!

私事ですが先月末にお誕生日を迎えて、またひとつ歳を重ねました。21歳もガラスガールさんでたくさん自己表現ができたら嬉しいです。

さて、今回ガラスガールさんよりいただいたお題は「東京」。私は生まれてから17年間、香川県の田舎で育ち、高校2年の時に上京してきました。

ドマレコは東京近郊に住んでいるメンバーばかりなので(7月1日現在。新メンバーが加わる前)、他のメンバーとの言語化のしづらい細かな違いを日常で感じる場面が多いです。上京するまで東京になかなか触れてこなかったので、「東京」というものは自分の中で「人より特別なもの」として認識しているなと感じます。

私が17年間住んでいた実家は裏が山で、最寄り駅まで車で15分ほどかかるような田舎でした。学生時代、東京のアイドルやロックアーティストに憧れていた私にとって田舎は退屈で、「一秒でも早く上京して、自分のやりたいことを見つけて何者かになりたい」「ここじゃ認められない何かを表現したい」と思っていました。

上京する理由となったアイドルオーディションを受けてなかったとしても、大学進学などで上京することは自分の中で確定していたので、16歳くらいの頃にはすでに近所の風景を「現在暮らしている場所」ではなく「いつかふるさととして帰ってくる場所」として噛み締めるように見ていたと思います。

当時、私は「東京」というものに対して、「楽しいことだらけ」「なににだって触れることができるし、私の趣味や思考を表現できる場所があったり、理解してくれる人も増えるはず」。そんな楽しみという気持ちだけを持っていました。一人暮らしにも憧れていたので寂しさみたいなものはほとんどなかったように思います。人生の第二章が始まる予感がしていたし、それが本編だと思っていました。

しかし実際は、最初からうまく暮らしていけるわけもなく、上京してすぐに持病が悪化。刺激的な街並みや多種多様な人々に、じんわりと精神が削られていくのを感じていました。

香川時代、周りは一軒家だらけで大きなマンションやアパートなどもありませんでした。そんな私が、当時、都会の風景で一番怖かったのは集合住宅。大きなマンションに無数にある小さな窓、そこから漏れ出す光のひとつひとつに家庭がある。「東京」の持つ「人生の数の多さ」に圧巻され苦手意識を持っていました。マンションを見て泣いた帰り道もありました。

苦手意識を克服するため、東京の街並みを怖いものではなく、おしゃれなものと認識するため、好きなアーティストの“東京の都市名が歌詞に入っている曲”を集めて「東京」という名前のプレイリストを作ったりしていました(アーバンギャルドさんの『都会のアリス』、大森靖子さんの『新宿』など)。

そんなふうに最初は怖がっていた私ですが、上京して4年。今ではかなり「東京」のことを好きになってきたと思います。

「東京」はあまりに騒がしくて、だからこそ、どこにも馴染めないような私ひとりが浮いていても、きっと誰かの騒音がかき消してくれます。いい意味で人に干渉しないところも好きです。人間関係以外のエンタメがこの街には溢れています。いろんな選択肢が一番ある街だから、私のような「常に新しいこと、楽しいものを求める」、「刺激のある人生こそ面白いと感じる人間」とは相性がいい街だと思います。

そんな私みたいな人間が夢を追って集まってくる街だから、出会って私の人生に影響を与えてくれるような人もたくさんいます。私の狭まった思考を広げてくれる。

新しいおしゃれを、新しい視点を、新しい音楽を、新しい夢を、私にくれる人。

そして私が20年間こじらせ続け、練り続けた思想を「新しい」と受け取ってくれる、そんな人と自分の選択肢を通して出会えたとき、幸福を覚えます。

数多の人を魅了し、小説や音楽、アートなどでひとつのおしゃれなカテゴリとして分類されている「東京」というものは、やはりたまらなく魅力的だなと、今ではこの都会の光景を見てそう思えます。「東京」に来て私らしくなれたから。「あゆちになりたい」と思った新居歩美が、自分で選択して「あゆち」になれたから。

それでも、夜に部屋が私をひとりにしたとき、帰り道見上げた夜空に星がひとつも見えなかったとき、都会の喧騒が冷たさに変わって孤独を連れてくるから、そんな夜を重ねていくことが、「大人になっていくこと」なのかなあと思います。

ドラマチックレコードには私が作詞した『夜空のよすが』という曲があるのですが、その曲の1番Aメロは、そんなひとり寂しい時間を思い出しながら歌詞を書きました。

きっと上京しなかったら出てこなかった情景とワードたち。都会に住んでいても、田舎に住んでいても、自分を削りながら頑張っている人には、みんな平等に寂しい夜がやってくると思っているので、そんなときはぜひ『夜空のよすが』を聴いてください。そんなときのための「お守りの歌」です。

「冷たい街」とも思うし、出会いあふれる「温かい街」とも思えちゃう。「東京」の見せるさまざまな表情に、今でも疲れながら魅了されて、いつまでも新鮮な毎日を送っています。コロコロ気分が変わってコロコロ違う顔を見せる。まるで掴みどころがない女の子みたい。そう思ってタイトルをつけました。

皆様に「あゆち」として出会えたのも「東京」のおかげです。

これからの生活も楽しみだなあ。どんな選択と出会いが待っているかなあ。

【今月のあゆち】

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ずっとしたかったけど勇気が出なかったフルバングにしました! 前髪が重すぎて二層に分けてヘアアイロンしないと熱が通りません! まだまだ重くしたいと思っていて、いつか全て前髪になります。

PROFILE

新居歩美(ドラマチックレコード)

6月28日生まれ、香川県出身。身長148cm、血液型O型。
ドラマチックレコードの赤色担当。
冠ラジオ番組『新居歩美の番台さんラジオ』(FM高松・毎週水曜23:00〜)放送中。
7月21日(日)、東京・渋谷ストリームホールにて「新居歩美生誕祭2024『朱夏は微熱』」を開催予定。
10月28日(月)、東京・Spotify O-EASTにて「ドラマチックレコード2周年ワンマンライブ」を開催予定。

オフィシャルホームページ

https://twitter.com/DMRC_info

文・イラスト/新居歩美