こんにちは! ドラマチックレコードの赤色担当のあゆちこと新居歩美です!
ガラスガールさんからテーマをいただいて定期的に書かせていただいているコラムですが、今回のテーマは「主人公」。こちらのテーマ、ドラマチックレコードが4月22日に新宿BLAZEで行ったワンマンライブにガラスガールの編集さんがお越しくださり、ワンマンライブを観た上で私に与えてくださったテーマです。
今回のワンマンライブで、私は総合演出やメインMCを担当させていただきまして(イェイ♪)、グループ名にかけて私たちと、そしてファンの皆様がこのドラマの主人公だ、と言葉で伝えたり、そのワードを全体を通してのひとつの軸にしていました。
初披露した新曲『メインキャスト』は私の3本目の作詞曲。歌詞にも主役というワードが入っています。
https://note.com/ayumi_nii/n/n088f0bbc1e4b
そして昨年初めて作詞し、3曲の中で一番、新居歩美の心情をダイレクトに書き綴った『陽炎』は、“僕はきっと主人公って信じてた”という歌詞から始まります。
言葉としてはっきり登場したり、言葉にしなくても私の背景に刷り込まれていたりする「主人公」というワード。ドラマチックレコードという存在の「ドラマ」の部分が、より私の思考を“自分はその主人公”として加速させています。やっぱりずっと「主人公」って概念は自分の中に大きくあって、今回はそこを紐解いていく機会をいただけたようで嬉しいです。
ただ、心の中にずっと輪郭がぼやけた状態で居続けているモノを言語化するというわけで。今までのコラムの中で一番、考えが向く方向が決まっていて、まとまっているのに、キーボードを打ち始めると手が幾度となく止まるコラムになりました。
思えば前のグループにいた頃。新メンバーとして加入した私は、歌もダンスも未経験どころか一切できなくて(下手な子、くらいでイメージしましたか? 残念でした。歌には音程という概念がなくすべての振りとタイミングは別物でとんでもないものです)、そのくせ何故か人気だけはある方だったから、悪目立ちも悪目立ち。沢山の批判の言葉を浴びました。
そんな状況の中、当時の私は「ほらやっぱ私主人公やったわ」と言っていました……。
まあ流石に、これは「アイドル始めたて」で「無知」の「無敵メンタル」だったのでできた発言だし、当時のマネージャーさんには「普通辞めてるレベルなのに」と言われたし。今となっては自分で「昔の私、強すぎる!」と思いますが、そんな今でも、「まあ主人公ではあるか……」とは思ってしまいます。
新居歩美の脳内に「主人公」という概念が生まれたのは、おそらく中学時代だと思います。
私の学生時代は言うなればオール暗黒時代。小学校でイジメに遭い、中学校に上がった頃にはそのトラウマと、もう元には戻らなくなってしまった精神のねじれで不登校に。毎日真っ暗な部屋で自分の境遇を恨み、学校に通える子が「普通」で、私は「ダメな子」で、私は「普通」じゃないんだ。つまりお終いだ、と、日々他責と自責を行き来し、生きた心地がしませんでした。
ですが、振り返ればその頃から「主人公」というワードが脳みそに居たので、「主人公」という概念と考え方はその時に現実逃避の一環として生まれたものなんだと思います。
脳みその機能で「防衛機制」というのはご存知でしょうか。学校で習った人も多いかもしれません。人は受け入れがたい状況や潜在的に危機的な状況に至った時、不安を軽減しようと無意識でこの防衛機制を行なうことがあるそうです。
防衛機制にはいくつか種類があり、私のこの「私、主人公やったわ」という考え方は、「こんなに辛い思いをしているのは、私が主人公で特別だからなんだ」という無意識の防衛機制によるものだったのだと、20歳になった今、思います。
ただ、私は幾度となくこの思考に救われてきました。そして、中学からこの思考と概念はもはや防衛機制という枠組みをとっくに超え、新居歩美という人格を模っていきました。
少年ジャンプ、りぼん、月9ドラマ、バナー広告でたまに出てくる不倫漫画……「主人公」って言葉だけだと世界にたったひとりしかいないよう。でも「主人公」って、その世界の、物語の数だけいるんです。
その主人公たちは容姿も中身も境遇もバラバラで、だからどんな人でも自分を主人公にするような物語を自分で作っちゃえば、もうその世界でたったひとりの特別な主人公じゃんって思うんです。
私のことを知れば知るほど伝わると思うのですが、私は自分に自信なんて全然なくて。「人から嫌われてるんだろな」ってずっと思っているし、何にもない人間ってこともわかっているし。でも、だからこそ私だけでも私を肯定してあげたいんですね。私がどんなに不出来な奴で愛されなくても、私は私をよしよしってしてあげたい。暗黒時代を脱却したようで、ずっとあの時代の私を救うことに執着している。
あのときの新居歩美ちゃんが主人公として生きて成長していく物語を、今の新居歩美が作っていってるのが今のすべて、な気もします。
実は「自分が主人公」と言うと、「関わっていく人たちが脇役ってこと?」と自分で少し引っかかっていた部分があるのですが、このコラムを通して考えていくうちに、「私の物語では私が一番輝く主人公で、誰だって物語があれば主人公なんだよ」と考えがまとまりました。
最初にお話しした『陽炎』の歌い出しの一節。“僕はきっと主人公って信じてた”。
冒頭ではその前の言葉をカットしてしまっていたのですが、歌い出しまるまる書くと、“1人ぼっち 真っ暗な部屋の中 僕はきっと主人公って信じてた”。
私の物語の「主人公」は、孤独で辛い時間があったから輝く少女です。
いまだにトラウマとしてこびりつくものたちは、長い年月一緒に過ごしてしまってもう自分自身の一部になってしまった。私はそんな自分も愛しているし、主人公だから問題ないよ。大丈夫、強みだよ。
そう言いながら、これからも新居歩美ちゃんが主人公として生きていくような物語を自分の手で作っていきます。このコラムを最後まで読んで下さった方はよければ各種サブスクにある『陽炎』を聴いてみてほしいです! 裸の言葉だから、なにか伝わるものがあるはず。
【今月のあゆち】
PROFILE
新居歩美(ドラマチックレコード)
6月28日生まれ、香川県出身。身長148cm、血液型O型。
ドラマチックレコードの赤色担当。
冠ラジオ番組『新居歩美の番台さんラジオ』(FM高松・毎週水曜23:00〜)放送中。
5月20日(月)0:00より、作詞を手がけた新曲『メインキャスト』が各種サブスクリプションにて配信開始。
10月28日(月)、東京・Spotify O-EASTにて「ドラマチックレコード2周年ワンマンライブ」を開催予定。
オフィシャルホームページ
https://twitter.com/DMRC_info文・イラスト/新居歩美