「サンリオ」のようなアイドルになりたい
次のテーマはどうしましょうか。
- 寺嶋
「ゆるキャラ」かな。歌って踊るだけのソロ活動だけだったら10年も続いてないと思うし、「ゆるキャラ」という軸があったからこそ、ひとりでやってこられたと思います。2015年には「寺嶋由芙withゆるっふぃ〜ず」(総勢10体のゆるキャラが参加)も結成できて、ライブやイベントの規模も広がっていったので、ゆるキャラのみなさんにはだいぶお世話になっています。
各地からの依頼も多いと思いますし、47都道府県制覇しているんじゃないですか?
- 寺嶋
仕事やオタ活で行っていないのは、多分熊本と山形だけです。くまモンとはこっちでめっちゃ会えるから行けていなくて(笑)。この2県は、なるはやで行きたいですね。くまモンと、きてけろくん(横顔が山形のカタチをしているゆるキャラ)に呼ばれたいです。
同じキャラクターでも、「サンリオ」は別枠ですか?
- 寺嶋
ゆるキャラは、「一緒に頑張ってきた同志」という気持ちがあるけど、「サンリオ」は憧れが強すぎて、「神」です。企業理念を尊敬しているし、目指すべき場所だと思っています。
目指すべき場所とは?
- 寺嶋
サンリオの企業理念は、「みんななかよく」なんですよ。それって、子どもの頃は「友だちや兄弟と仲良くしよう」くらいの身近なレベルで受け取っていたけど、大人になると世界中がみんな仲良くすることの難しさがわかるじゃないですか。その真理を分かりやすく可愛く伝えてくるところがすごいと思って。そういうアイドルになりたい。「ゆっふぃーって可愛いじゃん、楽しいじゃん」と思って見ていたら、「いつの間にか大切なことに気付かされていました」っていう人になりたいんです。
数年前の赤レンガパークでの『アイドル横丁夏まつり!!』で、それに近いことを思いました。寺嶋さんの『夏'n ON-DO』で別々のグループのオタクたちがみんな仲良く輪になって踊っている様子を見て、「平和だなあ」と。
- 寺嶋
そう、平和なんです(笑)。平和じゃないと活動が続かないので、持続可能なアイドル活動を目指しています。
いいですね、アイドルもサステナブルな時代。都道府県の話が出たので、次は「女川」の話をお願いします。
- 寺嶋
女川は、東日本大震災の翌年、前のグループの時に『おながわ秋刀魚収穫祭』(2012年)に呼んでいただいたのがきっかけで行くようになって。最初は、グループの知名度的にもやっていること的にも、私たちが行くことで女川の人が喜んでくれるのか全然想像がつかなくて、「我らに何ができるのじゃ」と悩んでいたんです。でも、私たちというより、付いて来てくれたオタクがイベントをすごく盛り上げて町を楽しんでくれたから、現地の人もその様子を喜んでくれて。
今回の10個に選んだというのは、ソロになってもそれだけ思い入れが強く、大切にしている場所ということですね。
- 寺嶋
イベントがない時期にも女川に行って交流をもっているオタクもいるし、私たちもイベントがきっかけで女川のファンになったし、そういうことが長い目で見たら多少なりとも復興の役に立つかもしれないことが分かって。それを見せてくれた町だから今もご縁があります。
それに、分からないなりにもまずは行ってみたら、行くたびに学びがあるし、発信することに意味があるということも教えてもらいました。そういう経験をしたからこそ、「コロナ禍」も情報を発信してみようと思えたし、それは女川イズムな気がします。