バンド中心のライブハウスではなく、アイドルバコを作った理由
話を戻して、G5オープン当時ってどんなグループが出ていたんですか?
- 望月
週末限定のハコということもあって、そんなにたくさんのイベントを組めるわけでもなかったので、GiRLS POWER PROJECTのアイドルと、お付き合いのあったグループに声をかけていました。のーぷらん。さんやPLCさん、2020年12月にG2がオープンしたころから、TwinBox運営時代からのお付き合いのアイドルカレッジさん、それからArcJewel所属のアイドルさん(Luce Twinkle Wink☆、愛乙女☆DOLL、Gran☆Cielら)にも積極的に使ってもらっていた感じですね。
今もその界隈、どちらかというと“キラキラ系”のアイドルグループが主戦場としている印象があるんですけど「こういうアイドルが出るハコにしたい」という狙いがあったりは?
- 望月
まったくないです。
いわゆる“楽曲派”のグループであっても話があれば出てもらう、と。
- 望月
バンド向けの機材の用意がないので「バンドセットでのライブは難しいです」というお話はするけど、それで問題なければ、どんなアイドルグループにも出てもらいたいですね。
そのバンド向け機材がない、ある意味アイドル特化型のライブハウスってけっこう珍しいですよね。
- 望月
48グループの劇場や、仮面女子さんの秋葉原P.A.R.M.Sみたいな特定のアイドルが使う常設ステージ・専用ステージはあるけど、ほかの事務所のグループも引き受ける、でもアイドルに特化しているというハコは特殊かもしれないですね。
なぜアイドルバコを作ろうと?
- 望月
それも我々がアイドル運営とイベント主催をやっているからですね。アイドル運営であり主催者としては、バンド中心のライブハウスに不便を感じることが少なくなかったんです。だから我々が運営するならアイドル特化型。アイドルが使いやすいハコを目指せば、よそとの差別化を図れるかな、とも思っていましたし。
具体的にアイドルが使いやすいライブハウスってどういうものなんでしょう?
- 望月
一般的なライブハウスの場合、演者とお客さんのトイレが一緒だったり、楽屋の電源コンセントの数が少なくてメンバー全員がドライヤーやヘアアイロンを同時に使えなかったりすることもあるんです。あと楽屋の照明がちょっと暗かったり。
メイクするにも暗いと困っちゃいますね。
- 望月
自撮りするにも盛れないし(笑)。だからほかのライブハウスよりも楽屋は明るくしているし、鏡も多めに配置していて、電源もできるだけ多く確保しています。トイレも客席フロア用と楽屋用は別ですし。あと、本当に細かい話なんですけど、ヘアアイロンやドライヤーを忘れてくる子がけっこう多いので常備していたり、チェキフィルムを買えるようにしていたりもします。
ステージやフロアにもアイドルバコならではのこだわりが?
- 望月
どんな大人数のグループにも対応できるようにワイヤレスマイクの本数には注意しているし、どのハコにもドラマチックにライブを演出できるようにムービングライトを設置しています。ロビーフロアにもこだわりはあって、ライブハウスってたいてい壁が黒いじゃないですか?
確かに(笑)。
- 望月
それではチェキを撮るときに面白くないので、壁紙を明るめにしてみたり、ハロウィンやクリスマスのシーズンにはそういう装飾をしてみたり、という仕掛けも用意しています。それと音響についてもアイドルファースト。「できるだけボーカルを立ててほしい」「低音を抑えてほしい / 強調してほしい」といった主催者さんや出演者さん・運営さんの要望には可能な限り応えるようにしています。あとウチならではという意味では、生活基盤作りの支援に取り組んでいることかもしれない。
アイドルの生活基盤ですか?
- 望月
ええ。タレントのセカンドキャリア形成って芸能の世界の大きなテーマじゃないですか。だからウチではGiRLS POWER PROJECT所属の子たちにライブやレッスンのない日にGグループでバーカウンターや照明のお手伝いをしてもらいつつ、その仕事を勉強してもらっています。
それが彼女たちの現在の収入の手立てにもなるし、アイドルを卒業したあとのキャリア形成の助けにもなる、と。
- 望月
ウチの戦力になってくれる意味でもありがたいですしね。