瞬時に正解がわかることの楽しさに気づいた
前回のインタビューでのお話だと、もともと声優志望だったんですよね? 学生のころ、アイドルになろうとは思っていなかった?
- 小熊
『きら☆レボ』にハマっていたころからずっとアイドルに憧れはあったんですけど、容姿にあんまり自信がなくて……。でも声をホメてもらうことはけっこうあって、それがちょっとした自信にもなっていたので、声でなら表現にまつわるお仕事、しかも大好きなアニメのお仕事ができるかな? ということで声優を目指していました。
声優になるために具体的にはどのようなトレーニングを?
- 小熊
学生のころから声優の養成所や劇団の養成所に通ってはいたんですけど、高校を卒業してから声優の専門学校に入って本格的に声のお芝居の道を進む準備をしていました。専門学校を卒業したあとも、ある声優事務所の運営している養成所にも通っていましたし。
それって声優志望の子の中でもかなり優秀なほうですよね? 専門学校卒業後、直接、事務所所属や預かりにこそなれなかったけど、傘下の養成所にはフックアップされたってことですから。
- 小熊
養成所は2年制で1年目の終わりに2年目に上がるための査定……120人中20人しか残れない査定になんとか合格することができて、事務所のマネジャーさんと直接お話しして、いくつかお仕事をいただけてはいたので、確かに悪くない状況ではあったと思います。
そのころ憧れていた声優さんは?
- 小熊
今もそうなんですけど、朴璐美(パク・ロミ)さんです!
さすが、『ハガレン』オタク!(『鋼の錬金術師』の主人公・エドワード役)
- 小熊
何度か直接指導していただいたこともあるんですけど、本当に魂で言葉を発する方なんです。演技しているときはもちろんだし、普通にお話なさっているときにも、その声にほかの人の100倍くらい感情が込められていて。声の持つパワーがすごすぎました。
朴さんのファンになったきっかけは確かに『ハガレン』なんですけど、ご本人にお目にかかってもっと好きになっちゃって、アニメをチェックするのはもちろん、当時朴さんが在籍していた『演劇集団 円』の舞台にも通っていました。
ところが、今の小熊さんはアイドルであって声優ではありません。
- 小熊
養成所の2年目に入ったころ、ちょっと気持ちに迷いが生まれ始めてしまったんです。当時、小さな舞台に出演していたこともあって「声優もやりたいけど、表に出る仕事もしたいな」って。キラキラしていると言われがちなものの、声優ってやっぱり裏方仕事だと思いますから。
個人名義で音楽活動をしている声優さんにせよ、バラエティ番組によく出演している方にせよ、声のお芝居について聞くと必ずそう答えますね。
そういう映像作品の縁の下の力持ちであり、キャラクターに命を吹き込む仕事を目指していることが誇りではあったんですけど、もう一方で踊ることもずっと好きだったし。
あと、舞台って出た瞬間、お客さんのリアクションがパンッて返ってくるじゃないですか。舞台に上がらせてもらって、瞬時に正解がわかること、誰かがその場で反応してくれることの楽しさに気づいたから、進路に迷うようになって。しかもそうやって迷っていたからか、養成所2年目最後の事務所に所属するためのオーディションに落ちちゃったんです。