一生忘れられない3月
とはいえ、運動未経験の元バスガイドがプロレスに挑戦って、肉体的にも精神的にも相当ハードですよね。
- 鈴木
そうですね。フィジカルでいうと、私、もともと前転もできなかったし、合格してからもベンチプレスは5kgのシャフトを3回上げるのが精一杯で。あとから聞いたんですけど、それこそオーディションのときは「こんな人が応募するわけがない」「冷やかしの記念受験だ」って思われてたみたいです(笑)。
そんな私だけど、東京女子プロレスでめちゃめちゃ活躍してる先輩方と肩を並べて「アプガプロレス」で。練習生の頃は申し訳なさが強かったですね。
「アプガプロレスの一員だ」と胸を張って言えるようになったのは?
- 鈴木
やっぱりリングデビューしてからですかね。“一生忘れられない3月”って呼んでるんですけど、「やっと私もリングで、応援してくれた人たちに何かをお返しできる」って思えました。キャリアは全然違うけど、「アプガプロレス」で「選手」って、肩書きが先輩方と並んだことで、ひとりで思い込まずに相談しやすくなって。やっと心が軽くなりました。
最後に、今の目標を聞かせてください。
- 鈴木
目標はまず自力勝利と、ちょっと目に見える指標ではないんですけど、やっぱり人の心を動かせる存在でありたいです。今でこそ、私の試合を見て泣いてくれる人もいるんですけど、自分の技で「おお!」って歓声を上げさせたことがないんです。ドロップキックを褒めてもらうことが多いので、打点を高く頑張りたいなと思います。
あと、今はリングにすべてを置いてきすぎというか。命を削りすぎてバックコメント(試合後のコメント)で一度もいいコメントを残せてないんですよ。この前のHIMAWARIさんとの同期対決のあとも、「HIMAWARIさん……強かった」みたいなことしか言えなくて(笑)。だから全身全霊で闘いつつ、ちゃんとしたコメントを残せるようになりたいです。
アイドルとしては?
- 鈴木
アイドルも一緒で、まずは全力をお見せすることです。やっぱり歌って踊ってがまだまだだし、とにかく100%をやる。あと、私は人が好きなので、バスガイド時代のようにちゃんと「人と人」、一対一でお客さんと関わるアイドルでいたいです。みんなが「志乃ちゃんと目が合ったな」「また来たいな」って。まだまだ余裕はないですけど、頑張ります。
PROFILE
鈴木志乃(アップアップガールズ(プロレス))
1998年7月15日生まれ、静岡県出身。身長157cm、血液型B型。
2022年8月、アップアップガールズ(プロレス)に加入。今年3月にリングデビュー。
入場曲でもあるソロ曲『ワタシノセオリー』が好評配信中。
5月21日(日)、東京・LIQUIDROOMで「アップアップガールズ(フェス)2023」に出演予定。
東京女子プロレス公式サイト【https://www.ddtpro.com/tjpw】
オフィシャルホームページ
https://ameblo.jp/upupgirls-prowrestling/取材・文/アオキユウ(short cut) 撮影/篠田直人