もう私、半泣きですよ
マリリさんの銭湯トークでよく出てくる、サウナや水風呂で井戸端会議をしている“ヌシ”。あんまり想像できないんですが、女湯ではポピュラーな存在なんですか?
- 真山
どこでもいらっしゃいますよね。銭湯だと特に、5〜6セット続けてる方とか。
- マリリ
スパとかにはいないので、その地域の銭湯とかにですけど。でも最近思ったのが……ヌシって、いい。
- 真山
そこだけがー……。私はちょっと苦手です(苦笑)。やっぱり私、日常とか他者と交わらないためにサウナに行ってるので、どうしてお話ししなきゃいけないんだって思っちゃって。その「いい」っていうのは?
- マリリ
もちろん怖かったですよ、最初は。「サウナマットはこう使うの!」とかいろいろ怒られてたんだけど(笑)、「この近くでおいしいお店ってどこですか?」みたいな雑談からちょっと仲良くなって……。
で、そのヌシさんに「はぁ……ヌシ―!」ってなったエピソードがひとつあって。よく出くわすヌシさんが、何人かのおばさま方と「息子が一軒家を建てて、二世帯で住むことになったから引っ越す」「だからここには来れなくなる」って話をしてるときがあって。
- 真山
おぉ。
- マリリ
「40年くらい通ってきたこの場所だから」「ですよねぇ」って話してて。私はその輪に加わるまでの仲じゃないから、横で「えぇ、いなくなっちゃうの……」って思いながら聞いてたんですけど。聞きながらすごく……学校とか職場とかそういう付き合いじゃない、その空間だけのコミュニティの人の卒業みたいな、妙なエモさがあって。
- 真山
確かにちょっとエモーショナル。
- マリリ
そう。「最後だから」なんて言いながらお水を渡してるお姉さんとか、お風呂を出てから「このビール持って帰んな」って餞別を渡してる人とかもいて。30年、40年一緒にいた、お風呂だけの友達同士でこんなことがあるんだって。もう私、半泣きですよ(笑)。
もしかしたら、この銭湯はこのヌシがいたから40年続いてきたのかもしれない。ヌシがいなければここの女性サウナも廃れてなくなってしまうのかもしれない。そう思ったら……「ヌシー!」ってなって。もうそこからは“ヌシ擁護派”です。
- 真山
なるほどぉ(笑)。
すごい話ですね。裸の付き合いを40年間続けてきた方たちの別れに出くわすという。
- マリリ
「やっぱりいいなぁ、銭湯コミュニティ」って。私もヌシになりてぇなとすら思った(笑)。
ヌシが苦手な真山さん、この話を聞いて銭湯コミュニティに興味は出ましたか?
- 真山
うーん。遠くで見ている分には……(笑)。
- マリリ
ダメかぁ(笑)。