アイドルが女子プロレスラーに転身する。そして、女子プロレスラーがアイドル活動を始めるというパターンはよくあるけど、最初から「アイドル」と「プロレスラー」の二刀流を目指した空前絶後のグループ「アップアップガールズ(プロレス)」。
そのメンバーである渡辺未詩は抜群のアイドル性を持つだけでなく、パワフルなファイトスタイルでプロレスラーとしても頭角を表し、2024年3月31日に両国国技館で開催された東京女子プロレス『GRAND PRINCESS’24』のメインイベントでタイトルマッチに挑戦。団体最高峰のベルトであるTOKYOプリンセス・オブ・プリンセス王座を初戴冠した。
アイドルでもプロレスでも、大きな結果を出したアプガ(プロレス)のエース、渡辺未詩に勝利者インタビュー!
好きじゃないのに「私はプロレスが大好きだ」って叫ばなきゃいけないなんて!
新チャンピオン、おめでとうございます!
- 未詩
ありがとうございます! 試合前はすごく緊張しましたし、試合中はもう心が折れそうなくらいだったんですけど、みなさんの「頑張れ!」という声援が聞こえて、 それがすごい励みになってなんとか返すことができて……。最後にスリーカウント取った瞬間も、自分ではよくわからなくて、みんなが喜んでくれてる顔を見て、ようやく勝てたんだと実感できたくらいでした。
勝って、未詩さんの名前がコールされて、入場曲の『チョコっとラブ MEドゥー』が両国国技館に大音量で流れた時は感動的でした。
- 未詩
あの曲をレコーディングしたのは、もう7年前とかになるんですけど、その頃の私はプロレスがまったく好きじゃなくて、もう辞めて逃げたいと思ってた時期なんです。
最初に「みんな、プロレスは好きか~! 私は大好きだ~!」と叫んでから始まる曲なんですけど、なんでプロレスが好きじゃないのに叫ばなきゃいけないんだろうって思ってて、ディレクターさんからは「もっと気持ちを込めて!」って怒られてました。歌詞に「LOVEアイドル」「LOVEプロレス」と並んでるんですけど、アイドルの方は気持ちが入ってるので、すんなり言えるんですよ(笑)。
未詩さんはアイドルになる前から、ずっとアイドルが好きなんですよね。
- 未詩
物心ついた時からアイドルは好きでした。3歳くらいの時に、テレビでミニモニ。さんを観て真似して踊ってて、小学生で月島きらりちゃん(テレビアニメ『きらりん☆レボリューション』の主人公)が好きになって、それからAKBブームになって……。中学生になって、周りの子たちはアイドルとは違うものに興味を持ちはじめていくなかで、私だけずっとアイドル好きみたいな時期に突入して、そこからももクロさんとかエビ中さん、いろいろなライブアイドルを見に行くようになりました。
どんなライブに行ってました?
- 未詩
当時、1番ハマってたのは乙女新党さんですね。黄色とピンク推しでした。でも、私が高校2年生の夏に乙女新党さんが解散してしまって、それがキッカケで私もライブアイドルになりたいと真剣に思うようになったんです。それでオーディションをいろいろ探している高校3年生の時に「アップアップガールズ(プロレス)」のメンバー募集を見つけて、ちょっと不安だけど応募してしまって……。
(プロレス)って付いてるけど、アプガなら大丈夫かな、と。
- 未詩
その半年前くらいにアプガ2期さんのオーディションがあって、「アスリート系アイドルの妹分 追加メンバー募集!」という触れ込みだったんですけど、結成されたら王道可愛い系のグループになってたんです。なので、こっちも(プロレス)って書いてあるけど、アイドルだし、大丈夫かなと思ったんですよね……。でも、今思うと、募集要項に筋肉バキバキのお姉さんの写真と「本気でプロレス! 本気でアイドル!」みたいなことが書いてあったので、大丈夫じゃないですよね(笑)。
それまでプロレスそのものをまったく知らなかったんですよね。
- 未詩
ももクロさんのライブに行くと、プロレス用語が使われていたり、プロレスラーの方がステージに出てきたりするので、なんか好きな人が多いジャンルなんだろうな、とは思ってました。
でも、応募する前に一応「プロレスとは?」みたいなワードで検索して調べてみたら、「世界最大級のエンターテイメントである」みたいなことが書いてあって、結局よくわからない、もういいやって思ってエイっと応募して。
まさに「迷わず行けよ、行けばわかるさ!」というヤツなんですけど、こういうプロレス用語がまったくわからなかったんですね…。いまその時の自分に声をかけられるとしたら、止めますか? 「もうちょっと考えた方がいいよ!」って。
- 未詩
いまの私だったら止めないです。でも、デビューする直前くらいの時に同じ質問をされたら全力で止めます。「騙されるな! これは普通のアイドルじゃないよ!」と、叫んでますね(笑)。