ベルハーに背中を押されてキラキラで楽しいアイドルに
かなり早い段階でおそらく鬱にはなっているのですが、超真面目人間の私、「お金を払って所属した以上このグループを1年は続ける」と自分に言い聞かせて、辛いけど続けます(こういう時、辞められるなら辞めた方がいいです)。
そして、このブラックカスゴミ事務所所属期間の終盤。
「アイドルとして存在価値がないので動画編集をしてくれ」とさらっと酷いことを言われながら頑張ってみるものの、今あるような簡単な動画編集アプリなどは無く、PCの動画編集スキルが必要だったため、時間がかかってしまいます。社長から毎日煽りの電話がかかって来て、「動画まだー?笑」「1週間ぐらい寝なくても死なないから大丈夫、笑」と言われ、寝ずに動画編集とダンス練習をする日々を送ります。
そこでついに限界が来てしまいました。
自分で自分を物理的に傷つけて、親に助けを求めて、心療内科や精神科に連れて行ってもらいました。
人生で初めて、親を悲しみで泣かせてしまいました。
そこまで精神を病んでしまっては続けられないので、最後まで嫌味を言われながらも「辞めたいです」と電話でお伝えして事務所を離れました。
アイドルらしい活動はほとんどしていないし、お給料ももらっていないので、この1年はアイドル活動としてカウントしていません。
電話恐怖症、鬱病、拒食症、不眠症、良くない忍耐力
得られたのはこれだけ。とても辛くて、体感時間がすごく長かったです。

辞めた直後は疲労困憊でしたが、比較的すぐに「まだ諦めたくないな」と思いはじめます。
絶対にあの事務所がおかしいだけだ。
私が見て来たアイドルは、確かに目の前でキラキラしていたから。
そんな時、友人から「ベルハー(BELLRING少女ハート)が公開オーディションやるらしいよ」との連絡が来ます。大学の休み時間にそれを見て、
「え、今日の夜?!……。行けるな……」
懲りない私の行動力の高さが炸裂。大学が終わってそのままの足で新宿LOFT BARスペースに行きます。
急遽決めたので何の準備もしておらず、カラオケで1曲も歌わず友達の合いの手をしているタイプの私が歌えるのは小さい頃から聴いているL'Arc-en-Cielさんぐらい。
「でもアイドルオーディションだぞ……。アニソンなら行けるか?」とLiSAさんの「oath sign」を公開オーディションの舞台にて人生で初めて歌います。とんでもない度胸。
無知は無敵。自分が歌が下手だということを認識していなかったので、怖いものがなかったんだと思います。
逆に、ダンスに関しては先の事務所で散々な言われようだったので恐怖しかなく、「踊れません。サイドステップならできます」などと言ってサイドステップだけしていたらプロデューサーの田中(紘治)さんに「なんか良い感じに締めて!」と言われてターンでおわらせました。
結果は不合格でしたが、ヲタクの方々に「君が合格すると思ったよ」と言っていただいたり、いまだに「あの時の子だよね! 応援してるよ!」みたいなことを言われます。やさしい。
この公開オーディションでまたアイドルになりたいという火がついてしまった私は、Twitterで「アイドルやりたい」とツイートしたり、「私はこれからアイドルになりたい!」という前代未聞のフライヤーを自作して配り歩いたりしていました。
すると、Twitterのダイレクトメールに今までで一番丁寧な長文メッセージが送られて来ます。

現在の会心ノ一撃のプロデューサー、KUMAさんからでした。
・「アイドル やりたい」でツイート検索したらヒットした。
・音楽への熱量が高いグループがやりたい。
・プロフィールに書いてある好きなアイドルさんを見て、興味を持ってもらえるかも知れないと思った。
・フェスにバンバンでるグループにしたい。
・有名バンドと戦いたい。
などなど……。
省略はさせていただきますが、おおまかにこのようなことを長文で送っていただいて、KUMAさんが作った曲を聴いたらあまりにも良くて。
正直に言うと、将来の展望ややりたいことをお話している時点で「早くお会いしてみたいな」とは思いつつ、これまでに色々な失敗があるので、KUMAさんの素性を事細かに説明していただいてから直接お話させていただくことになりました。
都内のカフェでお話をすることになったのですが、緊張しながら席に着いたのも束の間、やりたいアイドル像や「裸足でやりたいんすよね、病的で良い」「軌道修正はするので自由にやってほしい」「僕もメンバーみたいな感じでバンド的なノリでやりたい」というワクワクするようなお話、センスが良くて作り込まれた新しい楽曲、グループ初の曲が『グッバイ』、他のメンバー含め全員が突拍子もない案に対して「え〜おもしろ〜! やろやろ〜〜」というマインド。全てが良い。良さが雪崩れ込んで来る。
意気投合して、今までのは何だったんだろうかというぐらい、私の身体に馴染みが良い空気感のグループで一緒に活動することが決定しました。
一緒にやりましょうと決まった後の会話も、
「待雪アイリの名前の由来、L'Arc-en-Cielなんですか?! いやぁ、合格っすね」
「ごめん、今2つライブ決まってるんだけど、1個目アイリさん間に合わんけど、ほか2人でライブしたくてウズウズしてるから一回ライブやっちゃうね!」
「the name『TWICE』っていうグループ名でプレデビューしよう。ゆっくり読んでみて。ざ・ねむたいっす……」
「初ライブ、たのしも〜! 勝つぞ〜!」
という調子で、少し前までハイパーブラックカスゴミ事務所にいたことが嘘のような温度で笑ってしまいました。
やっぱり、アイドルって楽しいんじゃん!
キラキラしてんじゃん!

楽しく活動していたらあっという間に10年目!
とまではいかないんですけれども、基本的にずっと楽しいとても良いグループです。
活動が長ければ長いほど、楽しいことも嬉しいことも、辛いこと、悲しいこと、悔しいことも、出会いも別れも沢山あるけれど、会心ノ一撃に集まってくる人はみんな良い奴だなと日々感じるし、一度去ったメンバーが、一度去ったヲタク・ファンが戻ってきて「やっぱり良いグループだ」と言っちゃうようなグループであることは、とびきり素敵なことだと思っています。
楽曲も、それを大切に表現する人たちも、受け取る人たちも、グループが作り上げる世界も全てが良すぎるせいで、漫画家という夢を一旦横に置いて、アイドル「会心ノ一撃」に夢中になってしまって10年目です。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
まだまだお話したいことが沢山あるので次回もお楽しみに。
また水曜日にお会いしましょう!
PROFILE
待雪アイリ(会心ノ一撃)
まつゆき・あいり
2月27日生まれ。2016年、会心ノ一撃の前身グループ・the name「TWICE」の一員として本格的にアイドル活動を開始。音源制作やライブ活動に加え、グループのほとんどの楽曲で作詞する。またSNSなどで公開するイラストやマンガは高い評価を集め、『映像研には手を出すな!』の金森さやかなど、二次元キャラクターの顔マネ・なりきり写真がバズり、ラジオや週刊誌で取り上げられたことも。
オフィシャルホームページ
https://www.kaishinnoichigeki.com/文・写真/待雪アイリ(会心ノ一撃)
