「テンシメシ໒꒱で待ってるね」
プリュネクストは2022年4月から始動。
それまでの半年間、私はプリュについてたくさん調べた。その中でテンシメシ໒꒱というグループに出会い、「メンバーそれぞれがひとつの料理を担う“担当メシ”を持つ」という部分に惹かれた。
調べていくうちに、水瀬らいちゃんを見つけた。すごく可愛くて、毎日SNSを見て、お揃いのコスメを買って。どんどん憧れが強くなっていった。「この子といつか会えるかもしれない」とわくわくする毎日だった。

2022年4月10日。
この日はプリュネクストの顔合わせの日だった。
神奈川県の自宅から、人生で初めてひとりで渋谷に向かう電車の中。スマホで憧れの3人のアイドルを見ながら、胸を高鳴らせていた。ただ、ふと時間が経ってからスマホを見ると、現在地はまさかの埼玉県・宮原。渋谷を通り過ぎて、すでに30分以上が経っていた。
慌てて次の駅で降りて、泣きながら母に連絡を入れた。事務所の方にも事情を説明したら、怒ることなく「大丈夫だよ」って優しく言ってくれた。その言葉に少し安心しながらも、胸はドキドキしたまま、急いで引き返した。
遅れて到着した事務所では、これから一緒に活動していく仲間たちと初めて顔を合わせた。自己紹介をしたり、アイドルになりたい理由を話したり、夢についてたくさん語り合った。緊張とワクワクが入り混じる時間を過ごし、なんとかその日の顔合わせは無事に終わった。
帰ろうとしたとき、事務所の方に「アイドルがいるから挨拶しよう」と言われた。ドキドキしながらドアを開けると、そこにいたのはテンシメシ໒꒱さんだった。
初めてお会いするのに、とても優しく話しかけてくれて、その瞬間、ますます大好きになった。

プリュネクストでは、「ひとつのグループを調べてXに載せる」という自由研究企画があった。テンシメシ໒꒱さんを選んだ私は、そこから毎日のようにテンシメシ໒꒱さんのことを調べて、ライブにもたくさん見学しに行った。
見れば見るほど、知れば知るほど、テンシメシ໒꒱さんは魅力に溢れている。全ての瞬間が可愛いメンバーさんのステージパフォーマンスや、それを見て全力で応援しているファンの方の、熱を感じるフロア。それらを知るたび、好きという気持ちはどんどん強くなっていく。
「いつか、このグループでデビューしたい」と思うようになり、その想いは日に日に大きくなっていった。

2022年11月。
プリュネクストのラストライブとほぼ同じ時期に、「プリュ合同オーディション」が始まった。4つのグループを受けられるオーディションだったけど、私は迷わずテンシメシ໒꒱の新メンバーオーディションだけを受けた。
たくさんライブを見に行っていたし、メンバーさんやファンの方から「テンシメシ໒꒱で待ってるね」って声をかけてもらっていた。「ついにデビューできるかもしれない」と楽しみにしていた。メンバーさんも、ファンの方も、私の加入を楽しみにしてくれていると話してくれていた。
しかし、私に届いたのは「不合格」の連絡だった。
姉と出かけていた私は、連絡を見てその場で泣き崩れた。周りが見えなくなり苦しくなるほど泣いた。自分にも自信があったし、周りも期待してくれていたから絶対に受かると思っていた。
受かる確証があったわけじゃない。それでも、全曲歌えるくらいライブに行って、メンバーさんにもファンの方にも直接「待ってるね」って言ってもらっていたから、まさか落ちるなんて思っていなかった。
これまでの15年間の人生。「自分にできないことなんてない」と思っていた私は初めて、夢に手を伸ばした先で、届かない現実があることを知った。
* * *
読んでくださりありがとうございました。
初回では私の幼少期から、プリュ合同オーディションまでを振り返ってみました。オーディションの事は振り返る度に今でも心が痛くなるくらい辛い出来事でしたが、確実に私を強く成長させてくれたものでした。
次回は、研究生期間〜「アイドル革命」デビューまでのお話をさせていただきます。デビューまでの道はとても長かったですが、私にとってとても大切な時間でした。
第2回もぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

文・写真/有栖なのは(アイドル革命)