昨年11月よりビザが不要になり、再び気軽に行けるようになった中国。
そんな中国国内で今、注目を集めているのが“地下アイドル”だ。
なんと日本に負けないほどの地下アイドルグループが存在しているとか。しかも、メンバーもオタクも運営も、日本のアイドルが大好きなのだという。いったい中国のアイドル事情はどうなっているのか? 日本と中国を行き来するコーディネーターで、アイドルオタクでもあるluluさんに話を聞かせてもらった。
中国の地下アイドルは全土で300組!?
まず、中国に地下アイドルがいることに驚いたのですが、今はどれくらいるんですか?
- lulu
毎年3月ぐらいに集計しているんですけど、今は260組ぐらい。サークルの延長線上みたいなグループも加えると300組ぐらいでしょうか。2023年に調べたときは40組ぐらい、2024年は200組と一気に増えました。
中国は広いですが、どの都市に多いとかあるんですか?
- lulu
広州や北京、四川などにもグループが多いですが、やっぱり上海が多くて50~60組とか。今も増え続けている状況です。
中国は公演をするのに地元政府に申請が必要なんです。北京は首都ということもあって、サブカル的なものがやりにくい。広東は2次元がすごい流行っている。でも上海は国際都市で新しい文化を受け入れやすい土壌があるんです。あとは「究極Ultima」という有名なグループをやっていた「UltimaIdols」という事務所を筆頭に大きな事務所やフェスの運営が多いのも、上海のアイドルシーンを活気づけている要因かもしれません。
いつぐらいから地下アイドルはあるんですか?
- lulu
もともと中国に歌手はいるんですけど、アイドルの文化はなくて。2010年代になって、AKB48の姉妹グループとして誕生した「SNH48」や、韓国のプロデュース101の中国版としてデビューした「Rocket Girls 101」が、その走りみたいな感じはありますけど、いわゆる“地下”ではなかったんです。
地下アイドルとして考えるなら、2011年に「Lunar」というAKB48のようなアイドルが誕生して。しばらくして、「DRAGON GIRLS」というグループと、元モーニング娘。に所属していた琳琳(リンリン・8期生。留学生)がプロデュースする「Idol School」が誕生して。そこにいたメンバーを中心に作られたのが、2021年に誕生した、「究極Ultima」。ここが上海のてっぺんを取ったんですけど、2024年5月に惜しまれつつも解散してしまいました。

そういう流れがあるんですね。増えたのはいつぐらいとか。
- lulu
コロナ禍に入ってからだと思います。もともと中国の地下アイドル好きのオタクは日本まで見に行ってたんですけど、無理になってしまった。でも中国はゼロコロナ政策をしていて、国内だったら、わりと普通に生活ができたんです。日本へ見に行けないなら自分たちで作ってしまおうというのが、中国の地下アイドルブームの起こりですね。
中国の地下アイドルブームは「日本の地下アイドル好きの中国人オタクが始めた」んですか! 日本のアイドルとの違いってあったりするんですか?
- lulu
アイドルの再編とか、転生が活発です。小さいグループの人気メンバーがもっと上に行きたいからと、他のグループへ行っちゃったり。日本だとトラブルになりますけど、中国は事務所がちゃんとしてなかったり、運営同士の仲が良かったりするので、あまり問題にならなかったりします。