INTERVIEW

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ドラマで体当たり演技を連発の田中美久「昔からやっていた『目の前の人を喜ばせたい』という気持ちが、女優のお仕事に生きているのかもしれません」

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相手が喜ぶことをするのが好きなんです

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ここでは「女優としての戦い方」を聞きたいと思うのですが、演じるときに参考にしている人はいますか?

  • 田中

    皆さんすごいなって思うんですけど、ふたりいて。ひとりは松本まりかさん、『夫の家庭を壊すまで』で共演させていただいたんですけど、役を全部自分のものにしていてすごいなって。憑依しちゃうというか。もうひとりは初めて出演した連続ドラマ『最高の教師』で共演した松岡茉優さん。本当に素晴らしい演技をするんです。声のトーンもすごい。そのときの衝撃が忘れられなくて。

    ただ、その人の演技を見過ぎちゃうと、似ちゃうので、あまり見ないように。それよりも想像を膨らませて演じるようにしています。

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ちなみに演じるときって、どこを意識してやりますか? 例えば監督だったり、脚本家だったり、視聴者だったり、色々あるじゃないですか。

  • 田中

    でも直感っていうか。「この人ってこういう風に見せたいんだろうな」とか、「こういう風に撮りたいんだろうな」っていうのが、大体わかるんですよ。

    監督さんがちょっとイメージが違うなって思ったときに、「いや、こうこうこうで、こうしてほしい」って指示したら、監督の思っている感じに修正できるというか。求めてることをうまく返せてるみたいです。いろんな監督さんから「直感がいいね」とか、「その勘は、今後生きるよ」って、めっちゃ言われるんですよ。

それは昔からあったスキルなんですか?

  • 田中

    グラビアで鍛えられたんじゃないですかね? ただ水着になるだけじゃなくて、グラビアってテーマやストーリーがあるじゃないですか。田舎の少女とか、彼女風とか。カメラマンさんによって撮り方も違うので、合わせて動いたりとか。それが誌面になったときに、「このカットが使われたんだ」とか見ることで、こういうのがいいんだとかさらに勉強になったり。

    もちろん見る人のためではあるけど、まずは目の前にいる人が、何を求めてるんだろう、どうやったらいいんだろうって、常に考えながらやっていたので。それが自分の女優としての武器なのかなと思っています。

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なるほど。求められていることをやるっていうのは、HKT48時代からも感じていて。それは隣に矢吹奈子さんがいたのも大きいのかなって。天真爛漫な奈子さんはスター性で駆け上がっていったけど、対照的に美久さんはファンとの関係の深さというか。とにかく相手が喜ぶことを全力やってくれたイメージがあります。

  • 田中

    でも振り返ってみたら、HKT48に入ったばかりの頃、小学生の頃は自分の意思がなかったと思うんです。いや、もっと振り返れば、入る前はお母さんが喜ぶことをやっていて。「学級委員長になってほしい」って言われてなったり、「応援団長になってほしい」ってやっていて。自分がやりたいからやるってことが1コもなかったんですよ。

そうなんだ!

  • 田中

    相手が喜んでくれることが好きなんです。これに出たら家族が喜ぶとか、これをやったらファンの人が喜ぶとか、そこに自分の意思はあんまりなくて。今もそうかもしれないですね。人の幸せが自分の幸せで生きてます!

子供の頃はお母さんを喜ばせたいだし、アイドル時代はファンだし、グラビアはカメラマン、ドラマだったら監督だ、と。

  • 田中

    それで言うと「こだわりがないね」みたいな感じで言われることはあるんですけど、こだわり……ないっすね(笑)。

役者って、己の型がちゃんとできてる人もいれば、求められることを全力でやる人もいるし、今の田中美久はそれが武器なんだと思います。