INTERVIEW

INTERVIEW

齋藤飛鳥・カバーガールインタビュー「私がやっていたアイドルも間違いじゃないし、アイがやっていたアイドルも間違いじゃない。アイドルってそういうものだと思います」

_TAK5922

もっとアイドルの自分をちゃんと愛せた

さて、この1年でいろんなことがあったと思うんですけど、乃木坂46を卒業するときの自分に声をかけるとしたら、どんな言葉をかけますか?

  • 飛鳥

    なんだろう。……あ、「卒コンに、もっと浸った方がいいよ」って伝えますね。

卒業コンサートに浸(ひた)る?

  • 飛鳥

    卒コンって、2日間やったんですけど、24時間ずっとバタバタ慌ただしくて。だから記憶が断片的だったり、薄いんですよね。やっぱり今 振り返って、卒コンって人生の一大イベントだったので、もうちょっと浸りたかったなって思うんです。もちろん覚えてるし、刻まれてはいるんですけど。

なるほど。当時、卒業に対しての不安とかはなかったんですか?

  • 飛鳥

    なかったです。焦りも別になかったし。本当におだやかに卒業させてもらって。今もそのまま、おだやかに過ごせているので。

インスタとかを見ていると、いろいろなところに旅行に行ったりもされてますよね。

  • 飛鳥

    ですね。海外にもちょこちょこ行けるときに行ったり。現役時代も行ってたんですけど。でも、旅行に行く理由とか、意味、目的は変わりましたね。昔は若かったから、何か勉強のためにって選んだ土地もあったし。興味本位で選んだりもしました。でも今は、やっぱり休息。ゆっくりする時間が欲しいとか、ぼーっとするために行くとか。目的が変わった気がしますね。

    前だったら、その土地の美術館を見てみるとか、ファッションが気になって行ってたものが、今は現地の空気を感じたりとか、現地の食べ物を食べたりとか。そういうのに変わった気がします。

いいですね。なんかアイドル時代よりも、自分にとっていい時間の過ごし方ができるようになってる、というか。

  • 飛鳥

    そうですね。ちゃんと、ひとりの時間を持つとか、長いお休みがなくても、結構ふらっとどっか行っちゃうので、定期的にそういう時間を作れてるかなって思いますね。ちょっとした時間でも、太陽にちゃんと当たりたいなって思ったり。

太陽に当たる!

  • 飛鳥

    そうそう。日があるうちに外を歩くとか。人間らしい生活をしている方が、精神衛生的にはいいのかなって(笑)。

TAK5145

心に余裕のある生活というか。でも、ふと振り返ると、怒涛だったアイドル時代のことを思い出して、「また、あのくらい上を目指して走りたいな」って思ったりもするんですか?

  • 飛鳥

    うーん、どうだろう。私は今、こうやって活動はしていますけど、目指している場所がある、というのとはちょっと違っていて。それはもう、乃木坂で十分にやったので。今はもう余生だと思ってるっていうか。

余生?? いやいや、早くないですか?? まだまだ人生は続きますよ。

  • 飛鳥

    ふふふ。長いなって(笑)。でも余生だと思ってるから、なんでも楽しめるかなって思ってますけどね。この考え方が良いのか悪いのかわかんないですけど。

「余生と思えばなんでも楽しめる」。そう考えるといいかもしれませんね。でも、余生でやるには……【推しの子】は重くなかったですか??

  • 飛鳥

    重かったです(笑)。重かったけど、たしかにアイをやるうえで、一番私が気にしていたのは年齢だったんです。「私、もう25歳だし、この年齢でアイをやるのか」っていうのが大きくて。これがまだ自分が18歳とか20歳だったら、もっと腕をブンブン回してできたんだろうなって思ったんですけど。

もっと若い時代だったら、っと。

  • 飛鳥

    でも、その時代にお話が来たとしても、逆にプレッシャーが強すぎたのかもな、とも思っていて。だから、「今は余生だからこそ、もう命も惜しくないし、凄く大きな役だけどやってやろうじゃないか!」って受け入れられたのかなって。

むしろ逆に余生と思っているからこそ、踏ん切りがついた、と! 素晴らしいですね。では、そろそろお時間です。最後に、ガラスガールというアイドルWEBマガジンに出ていただいたということで、これを読んでいる、すべてのアイドルの後輩たちにメッセージが欲しいです。今、アイドルとして頑張っている人たちに一言、いただいてもいいですか?

  • 飛鳥

    そんなことを言える立場では全然ないんですけど……(笑)。いや、でも本当にアイドルって偉いなって思います。乃木坂を見ていても、他のアイドルさんを見ていても思うんですけど。だからこそ、「もっとアイドルに浸る」ってめっちゃ大事だと思うんです。

先ほど、卒業コンサートのときに出てきた「アイドルに浸る」ですね。

  • 飛鳥

    私は、乃木坂をやってきて、アイドル人生でやり残したことは何もないんですけど、「もっと浸れたよな」「もっとアイドルの自分をちゃんと愛せたよな」とは思うから。世間の人から“アイドル”という立ち位置がどう見えるかなんて、めっちゃどうでも良いって思っているので。せめてアイドルを今やっている人は、アイドルであることにもっと浸ってほしいなって思います。

いいですね。すべてのアイドル、アイドルファンにも響く言葉でした。青春を駆け抜けてしまった後に、振り返ってももう戻らないですしね。

  • 飛鳥

    そうですね。たくさん浸って、愛してあげてください。

TAK5572

PROFILE

齋藤飛鳥

さいとう・あすか
1998年8月10日、東京都出身。O型。
2023年5月に乃木坂46を卒業後、女優、モデルとして活動中。
毎週月曜深夜0:15〜『ハマスカ放送部』(テレビ朝日系)に出演中。
『【推しの子】』ドラマ&映画は 11月28日(木)21:00〜ドラマシリーズ配信/12月20日(金)劇場公開。

オフィシャルホームページ

https://asukasaito.jp/

取材・文/篠本634(short cut) 撮影/武田敏将