「卒業生です」みたいな顔をして袴姿で学校に行って
そもそもなんでマーケティングを学ぼうと?
- 藤宮
高校3年生ながらに「これからの社会ではどんな職業に就くにしてもマーケティングが重要になってくるだろう」と大マジメに考えて指定校推薦で入学しました。当時はアイドルになる気は一切なくて、普通に就職するつもりでしたし。だから今の自分の姿にビックリしてます(笑)。
あっ、アイドルになったのは大学に入ってからなんですか。
- 藤宮
大学に入った年の6月にアイドルグループに加入しました。
4月の時点で「これからはマーケティングの時代だ!」と意気込んでいた女子大生は、なぜ2カ月後にアイドルになろうと?
- 藤宮
高校で禁止されていたからそれまでアルバイトをしたことがなくて、「せっかく大学に入ったんだからバイトをしてみたいな」と思ったんですけど、特にやりたい仕事の募集はなくて。それと同時になんとなくアイドルの情報も追っていたら、いくつか気になるグループのオーディション情報を見つけたから「なるかー」ということで応募したって感じですね。ただ、アイドルになってから1年くらいは両親には秘密にしてました。
それはなぜ?
- 藤宮
オーディションに受かったとき「アイドルやりたいんだよね」と父母に言ったら、「なに言ってんの?」みたいな雰囲気になっちゃって(笑)。「絶対向いてないし、普通にバイトしなさい」と言われたので、それから1年はお好み焼き屋さんで働いていることにしてました。
それから6年、アイドルを続けているその魅力って?
- 藤宮
私の歌にみんなが声援を送ってくれることや、特典会でその人たちと直接お話できることが想像以上に楽しかった上に、その楽しいことをしておカネをいただけるというのは、それまでバイトもしたことのなかった私にとってすごい体験だったんです。アイドルになったばかりのころは正直「すぐに辞めるかもな」と思っていたのに、あれよあれよという間に6年も続けられているのは、ファンの人のおかげ。誰かが待ってくれているからですね。
そしてアイドル活動とマーケティングの勉強を両立すること4年。2022年の春に最初の留年が決まります。ただX(旧Twitter)によると、藤宮さん、袴を履いて卒業式に行ってましたよね?
- 藤宮
まだ卒業する気まんまんで、実際に卒業できると思っていたころ、大学の購買の前を通ったら「袴のレンタルサービスの受け付けはあと◯日」みたいな貼り紙があったので……。
「大学の卒業式はやっぱり袴だよね」ということで借りてみた?
- 藤宮
貼り紙に煽られちゃいました(笑)。その後、留年が決まるんですけど、せっかく借りたのに着ないのはもったいないから、卒業式の日に「卒業生です」みたいな顔をして袴姿で学校に行って、校門の前で同級生と写真を撮りました。ただ、なぜかその写真、私だけ学位記を持ってないんですよ。
当たり前です(笑)。そのときはどのくらい単位を残していたんですか?
- 藤宮
一留目は20単位……科目数でいうと10科目残しちゃったので、さすがにヘコみました。
周りの反応は?
- 藤宮
中学のときはバレーボールの全国大会に出るくらい部活をがんばっていたし、高校でも進学校に通って、指定校推薦で大学に受かるくらいには勉強していたこともあって、自分では自分のことをどちらかというとマジメなタイプだと思っていて。当時の私のことを知っている友だちもそういう印象を持っていたみたいで「留年したの!?」ってビックリしてました。
保護者の方のリアクションは?
- 藤宮
やっぱり「えっ、留年!?」って驚かれたし、怒られました。でも、父も母も一回叱ったあとはネタにしていたというか、笑ってたかなあ。
だから留年したことを公表できたし、「留年アイドル」というキャラを手に入れられた?
- 藤宮
そうかもしれないですね。まわりが悲しんだり、怒っていたりしたらさすがに名乗れないですから。でも、そうじゃなかったおかげでファンの人が「ご留年おめでとうございます!」って祝福してくれたりもしたので(笑)、父母には本当に感謝しています。
ただ、そのキャラクターが2年続くとは……。
- 藤宮
思ってなかった……。残り20単位全部取って絶対卒業するつもりでいたし、授業もテストもマジメに受けていましたから。