素の状態でいようとすると、私も背中を押してもらえる
年末になるので2022年のお話も少し。今年、特に印象的だったお仕事は?
- 西野
やっぱり7月にやった、声出し解禁のフリーライブですね。フリーとはいえ会場が山中湖だからちょっと遠かったり、あと、コロナ禍で白キャンを好きになってくれた人は声出しありのライブを知らないから、それでも好きでいてくれるのかと気になったり。いろいろ不安なところはあったんですけど、すごく達成感のあるライブでした。
2年半前のライブシーンに少しずつ戻っていく。2022年はたしかにそんな年でしたが、西野さんもそこに喜びを感じたわけですね。
- 西野
そうですね。7月の頃はまだアイドル界にもそこまで声出しOKのライブが少なかったので、その頃に挑戦できたことも大きかったし、今ちょくちょく声出しOKの現場が増えてきたのも、このライブをやったからだなと思うし。すごくいいきっかけだったと思います。
ファンの歓声のほかに嬉しかったことは?
- 西野
野外らしく、ファンの方にステージから水をかけたりもしたんですけど、ずっと「やりたい」「かけたい」って言ってきたことだったので大満足でした!
あとは最後のアンコールで大きな花火をきちんと上げられたこと。梅雨の時期だったんですけど「雨が降ったら上げられない」って言われていて。でもスタッフさんたちがいろいろ考えて作ってくれたから、パーになったら嫌だなって思っていて……。無事晴れて、バーンって上がったとき、安心して気持ち悪いくらい泣いてました(笑)。
感動とかでなく、ホッとした涙なんですね(笑)。では、この日「歌えてよかった!」という曲は?
- 西野
『わたしとばけもの』。結構、感情をぶつけるような曲なんですけど、ちょうど空が薄暗くなってくるタイミングでこの曲が来て。もともと「野外とか広いところで聴いてみたい!」って言ってくれるファンの方も多い曲だったので、そういう意味でも嬉しかったし、自分でも「ライブハウスと違う!」「めっちゃいい曲!」って思いました。
私自身、こういう感情系の曲が特に大好きなのもあるんですけど、あの日はすごく表現しやすい、いい空間だったなぁと思います。
準備してくれたスタッフへの思いだったり、希望を話してくれたファンへの思いだったり、西野さんは真面目さと優しさにあふれてますよね。普通の“かわいい路線”ではないのかもしれないけど、アイドルとしてとても応援したくなる方です。
- 西野
またお褒めの言葉をいただきました〜……。でも、すごく嬉しいです。私、スカウトしていただいて芸能界に入るときに「飾った自分になるのは絶対にやめよう」「素を好きになってもらおう」って決めたのを、なんでか今思い出しました。
おぉ、そんな掟を?
- 西野
決めてたんです。当時からずっとこの決まりごとを持って過ごしてるんですけど、そのまま4年続けてこれたのは絶対にファンの人たちのおかげで。あらためてすごくありがたいことだなぁ……と。
アイドルとして、人間として西野さんが好きなファンが多いということですもんね。
- 西野
う〜〜〜ん(笑)。でも、やっぱりアイドルって、見る人の背中を押すものというか、勇気をあげられる存在だと思うんですけど。私自身も白キャンの応援するような歌詞に自信をもらってて、ファンの人はその私を見て「頑張ろう」って思ってくれて。また私もそのファンの人を見て「頑張ろう」ってなって……。
なんというか、素の状態でいようとすると、私も背中を押してもらえるんですよね。なのでこれからもきっと、私はこうだと思います(笑)。でも頑張るので、これからも見守っていてください。
PROFILE
西野千明(真っ白なキャンバス)
にしの・ちあき
5月25日生まれ、千葉県出身。
2018年末にスカウトから1週間というスピードで「真っ白なキャンバス」に加入。担当カラーは黄色。特技は幼少期から14年間習っていた書道。
11月18日(金)、東京・TOKYO DOME CITY HALLにて5周年ワンマンライブ 『希望、挫折、驚嘆、絶望、感謝 それが、私。』を開催予定。
オフィシャルホームページ
https://shirokyan.com/取材・文/アオキユウ(short cut) 撮影/武田敏将